3000人の泥棒の手口を記憶する手口捜査官、凄腕スリとの真剣勝負に賭けるモサ(スリ)刑事、全国の手配写真を頭に叩き込んで雑踏から手配犯を見抜く見当たり捜査官など、元ベテラン新聞記者が、伝説の刑事達へのインタビューを通じて、犯罪の本質と捜査の要諦に迫った迫真のドキュメント。その生き様と仕事ぶりは、刑事ドラマや小説でも出会ったことのない、凄まじいばかりのプロフェッショナリズムに満ちている。
現場に残されたわずかな犯人のクセを見逃さない、人混みの中で微かに視線が落ちる「スリ眼」を見抜く、ひたすら手配犯の写真を眺めて頭の中に実物のイメージを作り上げる等々、伝説の刑事達の仕事は「眼」が全てだと口を揃える。「現場を捨てたら眼が死ぬ」と語る者もいる。皆特殊な技能を生まれ持った訳ではない。あるのはただ、「絶対に捕まえる」という強い意志と諦めない心、そして自らの仕事に対する誇りであり、愚直なまでにその生き方を貫く。ただそんな彼らも、捕まえた犯人に対してはそれぞれの人生に思いを馳せ、心から更正と社会復帰を願っている。自分が過去捕まえた犯人達に、毎年欠かさず賀状を送る刑事もいる。
地味でリアルな刑事達の“現場”に立ち会える一冊。