大学入試のシステム、大学教育のカリキュラム、新任教員の採用、テニュア(終身在職権)制度とその審査システム、研究費の申請、獲得の方法などが細かく解説されている。
著者がNIH(米国立衛生研究所)に送付した研究計画書に対するNIHからの批評(Summary Statement)全文も掲載されている。日本で科学技術研究費を申請する場合に比べて、審査が厳格に行われている様子がよくわかる。
(日経バイオビジネス 2005/02/01 Copyright2001 日経BP企画..All rights reserved.)
米国の科学者たちは、まさにこの「切磋琢磨」で科学の質のボトムアップを図っている。科学者に必要な「切磋琢磨」する基礎学力と資質を身につけるために大学・大学院の教育があり、また科学者を目指す多くの学生は博士学位の取得後、博士研究員でさらに「切磋琢磨」の鍛錬を続ける。アカデミックポストを獲得して独立した研究室を持ってからは、さらに過酷な「切磋琢磨」が待っている。研究計画書の申請と審査は、まさにそれである。アカデミックポストに在留することができるかどうかを決定するテニュア(終身在職権)審査も、この「切磋琢磨」から得られた結果、すなわち科学研究費の獲得と発表論文、さらにそれを総合的に審査するシニア研究者からの評価で行われる~~。米国の一流科学者たちは、このように様々な段階の「切磋琢磨」で生き残り、それを退職するまで続けるのである。だからこそ、彼らは世界的に高い水準を持った科学研究を推進し続けることができるのである。
日本の基礎科学と科学技術のボトムアップの必要性が唱えられている中、米国のシステムを模倣したシステムが日本のアカデミアにも導入されつつある。しかし、米国の「切磋琢磨」するシステムを手本にするためには、それを十分理解することが必要だ。表面だけを模倣してしまえば、この最も重要な「切磋琢磨」の部分が欠落してしまう虞がある。それを避けるためには、米国のシステムの全てを理解した上でそれを消化し、日本のアカデミアに適した「切磋琢磨」型システムを立ち上げなければならない。
決して日本のシステムを批判することを目的にして,書くものではない.米国のシステムを表面的に導入することがいかに危険かということを,米国のアカデミックシステムの根本を理解することで読者に分かっていただきたい.今必要なことは,米国のシステムの良い部分を理解し、またその中で日本に適応できない部分もしっかり認識した上で、日本の土壌にあったシステムを作り上げることである.さらに,それが日本のアカデミックシステムの中で,効率良く機能することが重要である.そこには,当然米国とは違う,「独自性・独創性」が要求される.すなわち,前述の各大学の教育の独自性に加え,日本のアカデミックシステム全体の独自性が重要になってくるであろう.したがって,この本を大学教育に関わるひとりでも多くの方,それは現場の大学教員・研究者に限らず,政府・官僚側からその変革に携わる人達,さらには将来携わる可能性のある大学生の方にも読んでいただくことを筆者は希望している.この本の読者が,日本の土壌で効率良く機能するシステムについて議論し,優れたアイディアが生まれれば,この本を執筆した目的は達成される.そのようなシステムを作ることこそが,日本の大学教育の質を向上させ,基礎研究の活性化を促すことになり,その活性化が企業へとつながり,さらに技術大国として末永く世界に貢献できる国となることができるのではないだろうか.
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同様の本によく見られるうわべのアメリカ教育システムではなく,大学入試システムから研究者の採用,さらに研究費獲得のためのシステムをしっかりと解説しているので,その根底となる考え方みたいなものにも触れらることができる.
その上で,日本の教育システムとの比較を行っているので,非常にわかりやすい.
個人的には,3章の科学研究費の申請と審査に関する記述が参考になった.
きちんと研究計画を立てることの大切さと,そのコツにはハッとさせられると同時に,それを若手研究者に学ばせるアメリカのシステムがうらやましく思った.
手元に置いて,ときおり目を通したい本です.
実際には、テニュア獲得後のアメリカの研究者の中には相当だれている人もいて、アメリカの研究者が最後まで切磋琢磨しているかというとちょっと疑問だが、筆者ははなから、そういうサラリーマン教員は問題にしていないのだろう。それはそれで潔くて良い。
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