個性的な書籍を発行していらっしゃる月兎社発行人、加藤郁美さんによる「カワイイ切手の本」。
でも「かわいい○○の本」のわりには、版元が国書刊行会というのが、すこし不思議…?と思ったら、やっぱりこれはただの「カワイイ切手」本ではありませんでした。
かわいい切手はいっぱい載っています。フルカラーで1154枚。で、北欧、フランス、チェコの切手までは、「カワイイ切手の本」っぽいんだけど、ラオスやソ連、エジプト、セネガル、ケニア、ウルグアイ…だんだん馴染みのない国の名前が出てきて、びっくりしたのは朝鮮民主主義人民共和国の切手も収録されていたこと。
それぞれの切手の解説がまたふるっていて、その切手が発行された背景にある、発行国の歴史や、政治的事件などを知ることができます。
切手の味わいを伝えてくれるのが祖父江慎氏による装幀で、切手の写真など、ちょっと切手が糊で反ったりしているのまでわかって、ほんとうに切手帖を開いて見ている気分にさせてくれます。
エピローグによると「「カワイイ切手の本」とだまして?企画を通してもらったにもかかわらず、人文書編集者の血が暴走」してしまったのだそうで…なるほどねぇ〜という感じです。
中身が濃すぎる「カワイイ切手の本」、最後は架空の国の架空の切手を描き続けた画家、ドナルド・エヴァンズのこともとりあげられていて、「切手」に興味のある読者が、間違いなく満足できる一冊になっています。