出版社/著者からの内容紹介
がん治療に関して、日本は世界でも類のない「手術大国」です。
がん=手術という思い込みが患者さんにも医療者にも強く、がんを宣告された
ら、できるだけ早く切るのが普通と考えられています。けれども、実際には、が
んはなるべく切らずに治すのが、今日、世界のがん治療の主流です。そして、手
術に代わる方法として評価が高まっているのが、放射線治療です。技術革新が進
み、がん細胞だけをピンポイントで狙い撃ちできるようになった結果、正常な細
胞にダメージを与えることなく、したがって副作用もごく少なく、がんを完治さ
せられる可能性が高くなりました。完治しない場合でも、抗がん剤などと併用す
ることで、手術より高い生存率を上げられるがんが増えています。
最近の手術は規模が縮小されているとはいえ、手術は体へのダメージの大きな治
療です。しかも、手術でがんが治ると言い切れないのが、がんという病気で
す。2人に1人ががんで死ぬ時代を迎えて、手術と同じ、あるいは、がんによっ
ては手術より高い生存率を上げている放射線治療について、ぜひ多くの皆さん
に知っていただきたいと思います。
出版社からのコメント
切らずに治せる可能性があるのに、いきなり手術をしてしまうの
は、肉体的にも経済的にもとてももったいないことです。手術によって臓器を失
い、深刻な後遺症に悩んだり、ひどい場合には命を縮めてしまうこともありま
す。がんという病気では、治療法の選択に、本人の命と健康、そしてその後の人
生がかかっています。私たちはもっともっと賢い消費者になり、あらゆる可能性
を検討して最良と思える治療を選ばなければなりません。そのためには、手術を
すすめられても、返事をせずにとりあえず家に帰ること。そして、情報を集めて
セカンド・オピニオンを求める時間を作るのです。
本書では、放射線でがんが消えるしくみをはじめとして、さまざまな装置や
技術、副作用など、放射線治療のすべてについて、最新情報を網羅しわかりやす
く解説しています。さらに、「切らずに治せるがん」「放射線治療を手術や抗が
ん剤と組み合わせることで効果の高いがん」など、がんの種類別に放射線治療
の幅広い可能性について紹介していきます。
放射線治療は、がんの最初から最後までかかわることのできる唯一の治療法で
す。早期のがんの完治をはじめ、手術だけでは絶対に完治しない進行がんでも、
放射線治療を行うことで患者さんの痛みや症状を緩和することができます。諸
外国に比べ、日本の緩和ケアは非常に遅れています。そうした緩和ケアを担う治
療法としても、放射線治療は重要な位置を占めています。完治だけを求める
負担の大きな医療(=「治す」医療)ではなく、できるだけ苦痛をともなわな
い、楽で快適な医療こそが、患者さんのQOL(生活の質)の向上をもたらすこと
は見直されるべきでしょう。放射線治療は、医療の原点ともいえる緩和ケア(=
「癒す」医療)を担う意味でも、今後のがん治療において大きな役割を果たす治
療法といえるのです。