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30 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
博学、哲学的な分類学者の力作,
By
レビュー対象商品: 分類思考の世界 (講談社現代新書) (新書)
分類なんてオモロない、と多くの人は思うだろう。ところが、どっこい、分類は奥が深いよ、それどころか、分類せずにはいられない人間の「業」まで見えてくるよ、ということを教えてくれる本。良くも悪くも、著者のキャラが全編にでて、決して読みやすい本ではないが、著者の博学ぶり、哲学好き(生物学者でこんなに哲学に詳しい人はなかなかみつからない)、そしてアカデミックな誠実さ(文献表、索引に注意!)が伝わってきて、新書としては異色の本だ。ちょっとゴチャゴチャ書きすぎなので☆を一つ値引きしたが、「分類される物」ばかりに目を向けないで、「分類する者」がどのような認知バイアスを持ってきたか、もっと考えるべきだという著者のメッセージはよくわかる。生物学の哲学に関心のある人には、買って損はないどころか、必読書にしてもいいくらいの本だ。
8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
哲学の本で、生き物の本ではないですが,
By 某々 (さいたま県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 分類思考の世界 (講談社現代新書) (新書)
タイトルからして動物・植物の種(しゅ)を対象とした生物分類学の本と見える。事実、著者の専門の紹介には、進化生物学・生物統計学と書かれている。文章は平易だが、新書にしては、内容的にかなり高度で専門的である。種について論じた生物哲学の専門書に近い印象である。諸外国の多くの研究者のさまざまな著書や論文に書かれた生物分類に関する哲学を紹介し論じている。それはそれで生物分類学という研究分野に興味を持つ者にとってはおもしろい。しかし、生き物そのものに興味を持つ人にとっては、何か学者先生の空理空論のご紹介という印象になるのではないかと思う。実際、種概念について多くの考え方が示されているものの、種にまつわる具体的でおもしろそうな、そして、生物分類学者の頭を悩ます事例の紹介がほとんどない。これらはもっと素人向きの読み物用の素材かもしれないが、読者のほとんどが分類学や生物哲学の研究者ではなくて生き物好きと想定される新書では、この方面の話題にもう少し配慮が欲しかった。とは言うものの、手軽に読める類書が無いなかで、高度な内容を比較的読みやすく書かれた本として、生物の種や分類学、また、生物哲学、生物学史に興味ある方には是非おすすめしたい。
4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
分類されるものと分類するもの,
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レビュー対象商品: 分類思考の世界 (講談社現代新書) (新書)
分類とは人間の性である。
西洋哲学をかじれば分類とはなにか、どのように分類をするのかという論説が山のように出てくる。本著でも紹介される博物学から生物学へと移行する時期はまさに分類の本質に迫ろうとした時代である。西洋においては分類というのは文明が始まって以来、ひたすら繰り替え続けられる営為であり、結論のでない課題である。 勿論、東洋、特に中国においても分類はこれでもかというくらいになされている。 類書と呼ばれる一種の百科事典はそれぞれ特徴ある分類をしており、西洋での分類との類似と差異を見るのも面白い。 つまりは洋の東西、時代を問わず人間は分類をする生き物なのだ。 分類とは世界のとらえ方である。 そのままでは茫漠として捉えにくい世界を理解するための手法なのである。 前著「系統樹思考の世界」が事物がどのように変化してきたかを体系化するタテ系の思考を扱っていたのに対して、本書では事物がどのように存在しているかを分類するヨコ系の思考を扱っている。前著と本著はお互いに補い合う存在である。 著者も述べているように本著は前著に比べはっきりしない部分がある。 音楽や文学を枕に論を進めたり、比喩を多用したり、生物学や哲学のわかりにくいよう語や概念が多出したり、お世辞にも読みやすくはない。ただその迷宮のような文章は分類することとはどのような行為かを探り、最後は分類されるものではなく、分類するものの意識へと読者を誘う道筋となっている。 本書を読み終え、わかったようなわからないような気分になったが、それこそが分類というものの本質かもしれない。わからないものをわかるようにするためのものが分類であり、わかりやすさというものも分類すするものによって変わってくるのだ。分類という思考や行為に格闘した偉大な先人たちの苦労が少しはわかったような気がした。
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