ベスターの最高傑作。
記念すべき第一回ヒューゴー賞受賞作です。
べスターは寡作家であるため、知名度は意外と高くないのですが、本作は稀に見る傑作ですので、是非、手に取っていただきたいと思います。
ベスターの作品としては、「虎よ!虎よ!」が有名ですが、正直、やや分かりにくいです。
しかし、本作はそんなことは全く、極めてしっかりしたロジックの傑作となっています。
近未来。テレパシー能力を持つエスパーが出現し、人の心を透視出来る警察官まで出現するに辺り、殺人のような凶悪犯罪は絶滅していた。
しかし、魅力と個性を持つ大企業の社長であるベン・ライクは事業の苦戦からライバル社の社長殺害を決意する。
それは、読心術を持つ本作の主人公、警察本部長リンカン・パウエルの裏をかく、巧妙な計画だった。
知力の高い両者は人間的魅力に溢れており、虚々実々の高度な駆け引きを展開します。この辺りは、息もつかせぬ面白さ。
だが、この事件には本人同士も知らないもう一つの側面があった...。
本作はSFと推理小説の見事な合体を成し遂げた作品です。読心術の発達した時代に、どう犯罪を行うのか、ベン・ライクは果敢に挑戦して行きます。
尚、本作は勢いのある文体のため、会話等でややこなれていない印象を受けます。原文が個性的で訳者の苦労が伺えますが、その分、リアルで迫力は感じます。
また、改行等を上手く使い、テレパシーを巧みに表現している点にもご注目下さい。
他では、まず、見られないアイデアの大傑作、是非、お読み下さい。
紛れもなく、オール・タイム・ベストです。