分析哲学は、訳書・専門書は多数あるのに、バランスの良い入門書というのは実は少ない。
多くの本は、一般人でも読めるようにはなっているけど、中身は「筆者の論じたいこと」だけで全体のバランスや位置付けがよくわからないものも多い。
本書は、そうした状況を打破してくれる一つのよい分析哲学入門書である。
分析哲学が難しいのは、最初は「なぜその問いがそもそも『考えるに値する難しい問い』なのか」がよくわからないことが多い、というのは一因であろう。
意味の問題や指示の問題は、最初聞いても「そんなの当たり前じゃん」と思えるが、きちんと考えつめてみると日常的な捉え方にはいろいろと問題がある、そういうタイプの問題が多い。
そこをすっ飛ばしてしまうと分析哲学が何をやっているのか分からない学問になってしまいがちだが、本書では「素朴な感覚」からきちんと出発して、重要な問題を幅広く取り扱ってくれる。
全体としては言語のウェイトが高いが、心や時間の問題も取り扱われている。
最初からちゃんと読んでいけば入門者でも「分析哲学はどういうことをしているのか」は分かるはず。