数学入試問題の改革を提言している書である。ノーベル賞の益川博士が、考える入試問題の必要性とマークシート問題の批判を受賞後の会見でされたが、その理由を本書では数学マークシート問題の裏技などによって平易に説明している。
直列式問題は最初の小問で間違えると悲惨な結果になるので、並列式問題を多くする提案に賛成したい。直列式問題と見えても最後の一問だけ独立に解ける場合もあるが、それは無理と決め付けて解こうとしない受験生に同情するところが楽しい。整数問題や広範囲なグラフ問題に受験生が弱いことは納得できるし、今後の入試問題の一つの鍵になるように思える。数学的帰納法による答案をめぐる受験生との駆け引きは、受験生には大いに参考になるはずだ。
説明に用いた全問に解説を付けている点は素晴らしいが、普通の参考書にはない解答にやや拘っている面を感じる。しかし、主張したい内容を的確に捉える問題例をよく選んだと思う。それら全問の範囲で、高校数学全般を一通りカバーしている点に工夫がある。