出雲神話とは、出雲やその周辺地域を舞台としたものの総称である。
『古事記』ではなんと3分の1もの割合で出雲が絡んでくる。
内容は、スサノオが活躍する八岐大蛇退治、
オオクニヌシに対しての国譲りなどよく知られた話が多い。
本書は出雲神話への入門として、
専門家が書き下ろしたものである。
そのため、平易にそして簡潔に、今までの諸説や研究成果をまとめてある。
1984年、荒神谷などで遺跡が発見され、
以後出雲をめぐる説は移り変わっている。
しかし未だ謎につつまれた出雲。定説といえるものはない。
以下松前氏の主張をいくつか書きだすと、
・いくつかの説が、ひとつだけ正しいということはない。どれもある程度は真実である。
・しかし「巫覡信仰」を当てはめると説明がつきやすい。
・出雲国造の支配する宗教王国があったのではないか。
・八岐大蛇は、もともと土俗の蛇神信仰に、いろいろな要素が後から加わりできた。
…など
レベルとしては、研究者を目指す若者の入門となるものであるので、
『古事記』を読んで内容を知っている人なら、十分読むことができる。
まっとうな学問を学ぶことの大切さを本書は教えてくれる。