あの飯嶋氏が島原の乱を書く、というのは、著者の他の作品を読んだことのある人間にとってはとても納得感のある話だった。
ただ、読む前に懸念していたのは、史実としての島原の乱があまりに凄惨なため、どれだけ重苦しい読後感を植えつけられてしまうんだろう、ということだった。
そんなこんなでなかなか手を付けられずにいたが、読み始めればやっぱり一気に読了。
読後感も「いい意味での重さ」という感じで、読む前に思い描いていたものとはずいぶん違っていた。
内容的には、島原の乱のクライマックスとも言える原城攻防戦よりも、そこに至るまでの過程の方が丹念に描かれている。
そのため、結局は重苦しくならざるを得ないストーリーではあっても、多少のカタルシスを感じられるものになっている。
こういった取り上げ方はもちろん、著者も計算してのことだろう。
もう一つの舞台装置としての「長崎」もまた、印象的だ。
絶望的な状況の原城と、それほど離れているわけでもないのにやけに静かな長崎の夜。
このコントラストが強く心を打つ。
やっぱり飯嶋氏の本、期待通りです。
ぜひ。