登録情報
|
1ケースが、だいたい10ページ前後という読み易さも嬉しい。でも、なにより、著者の姿勢に好感が持てる。本書の中で著者が思ったことの描写、それは「借金生活しんどいなあ」なんてことだけではない。お客さんを前にしたとき、かわいいか、かわいくないか、なのだ。かわいくなかった場合、著者はトークを盛り上げ、ベッドの時間をなるべく短くしようと躍起になる。そして、かわいかった場合は、こともあろうに恋心の片鱗を見せたりする。男として当然の行動原理だと分かっているけど、それが出張ホストの口から出ると、なんだか安堵の溜息のようなものが口から出る。こうしてできあがる出張ホストの人間像は、想像もつかない苦労人というよりも、自分とたいして変わらない、そのへんの男の部分が浮き彫りになり、親近感を覚えるものとなるのだ。不謹慎だろうか。どれだけ親しみやすいと感じても、著者自身は笑えない状況にいる。本書の最後でも、一晩45000円で男を買う女性と、ビニール傘とのコントラストが、言いようのない、都市の苦労に塗れた哀愁を漂わせる。でもビニール傘の哀愁なんて誰しもが味わったこと。やっぱり僕はこの著者を、苦労人としていたわるのではなく、なんてことない、ただの隣人として迎えたいと思った。
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|