訳者あとがきにある通り、様々な処から「出てゆく」ことを求める物語。国から、人種から、現在から、性差から、自分のアイデンティティから、出自から、境遇から・・・
ここで展開される物語は何もこの場所に限定されるものではなく、何時の国、時代、地域でも見られる典型的な話で、私も読み進めながら、自分にもこの小説の登場人物たちと同じ様な逃避願望があるのに気づき、また、多くの人が自分にも同じ様な願望を抱えているのに気づくであろう普遍的な物語に思いました。
驚いたのは主人公が割とあっさり自分のジェンダーを放棄してしまう部分。その他の処でも割と性的に解放されているのが、イスラム圏でもやはり同じ人間なので、性的欲求があるのだなぁとか思いました。
あまり読むことの少ない地域の話なので、固有名詞が人名なのか、地名なのか、あるいはその他のものなのかが判りにくかったですが、それ以外はすらすら読めてとても面白く、また色々考えさせられる作品でした。