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5つ星のうち 4.0
《刀城言耶》シリーズの第二長編+書き下ろし短編「天魔の如き跳ぶもの」,
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レビュー対象商品: 凶鳥の如き忌むもの (ミステリー・リーグ) (単行本)
■「凶鳥の如き忌むもの」十八年ぶりに鳥坏島で行われる“鳥人の儀”。 前回の儀式では、島に行った八名のうち、儀式を 行う巫女を含め、七名が行方不明となっていた。 そして今回も、巫女の朱音が、密室 状態の拝殿から、姿を消してしまい……。 〈密室からの人間消失〉がテーマの本作。 特に「第十章 人間消失の分類と方法」では、現場となった拝殿と消えた巫女を、 それぞれ「場」と「駒」に抽象化した上で、想定できる全ての可能性を検討していく 緻密な議論が行われています。 ただ、いかんせん、本作の真相自体は、結構多くの読者が、直感的に思い浮かべる ものだと思うので、それが判明した際に、若干拍子抜けに感じてしまうのが残念です (「宗教儀式」、「影禿鷲」、「消失」といったキーワードから類推できますよね)。 ■「天魔の如き跳ぶもの」 先輩の阿武隈川烏とともに“天魔”という奇妙な屋敷神 を祀っている武蔵茶郷の箕作家にやって来た刀城言耶。 そこの裏庭にある竹薮では、近所の子どもが足跡だけ を残して消えてしまう、という奇怪な事件が起きたらしい……。 刀城言耶が、学生時代に遭遇した事件。 「凶鳥の如き忌むもの」同様、《人間消失》がテーマとなっていますが、 あちらが凄惨でグロテスクなテイストだったのに対し、こちらはちょっと おバカなほんわかテイストといった感じで、決して笑いごとにはできない 事件が扱われてはいるものの、絵ヅラを想像すると、思わずププッ、と なってしまいます。 また、シリーズものとしての読みどころは、阿武隈川の強烈なキャラも さることながら、犯人に父親である名探偵・冬城牙城の名前を出され、 挑発された言耶が、普段ののほほんとした雰囲気を一変させ、真相を 導き出すというツボを押さえた描写がなされているのも見逃せません。
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5つ星のうち 4.0
直球勝負の不可能犯罪,
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レビュー対象商品: 凶鳥の如き忌むもの (講談社ノベルス) (新書)
ミステリとホラーが見事に融合した「刀城言耶」シリーズの第2作です。 2009年2月現在、第4作まで出ていますが、 一番構成がストレートな作品です。 【怪異譚を求め日本中をたずねる小説家・刀城言耶は 瀬戸内にある鳥坏島の秘儀を取材しに行く。 島の断崖絶壁の上に造られた拝殿で執り行われる <鳥人の儀>とは何か? 儀礼中に消える巫女!大鳥様の奇跡か? はたまた鳥女と呼ばれる化け物の仕業なのか? 本格ミステリーと民俗ホラーを融合させた高密度推理小説。】 ・・・そんな作品紹介が 本の裏面に記載されていますが、 本作は正に人間消失の謎オンリーで、 直球勝負をしてきます。 人間消失が起き、 その謎を刀城言耶が解く。 この作品はそれに尽きると言えます。 他の3作のように 複数の謎が提示されたりすることはなく、 人間消失の謎のみが語られていきます。 また、章ごとに描写の視点を変えるようなこともなく、 ずっと刀城言耶の視点で語られていきます。 その点では、構成がすっきりして 読みやすい作品になっています。 ホラー色は他の3作より薄いですが、 その分、ミステリ色の強い作品に 仕上がっていると言えるでしょう。 人間消失のトリックが最後に明かされますが、 衝撃度はなかなかなものです。 思う存分、驚いてみてください。
14 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
民間伝承の引用も巧みです,
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レビュー対象商品: 凶鳥の如き忌むもの (講談社ノベルス) (新書)
三津田信三は、私が最も新作を望んでいる作家の一人である。彼の作品はミステリとホラーの両要素を併せ持っているが、作品によってその着地点はミステリ寄りだったりホラー寄りだったり様々である。しかし、その作品群はいずれも間違いなく一級のエンターテーメントの性格を持っている。着地点が自由であるがゆえに、読者はこの作品がいったいどこに向かって進んでいくのだろう、というリアルなスリルを体験することになり、それもまたこの作家の作品を読む大きな魅力である。逆に束縛の緩さを感じるかも事があるかもしれないが、概して再読してみると意外といえるほどいわゆる“本格ミステリのルール”を遵守していることに気付くだろう。民間伝承の興味深い引用も巧みで、よく設計されている。「蛇棺葬」では葬儀に関わる民俗的な儀礼の引用も見事だったが、本作品では、集落の形成形態と信仰の係わりが巧妙なエッセンスとして効いている。作品中で紹介されている、例えば「共潜き(ともかずき)」のエピソードのように、語り継がれる伝承は妙に暗示的で不気味なものが多い。そのような歴史の中で刻まれた「畏れ」の有り様を用いて、作者は作中の登場人物と読者の心理に鮮やかなトリックを仕掛けてくる。それが読み手の悦楽となる。
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