著者の前作「マグダラのマリア」(ISBN-13:978-4121017819)が良かったので読んでみました。読みやすい文章と多くの図版で楽しく読めました。
内容は受胎告知、無原罪の御宿り、ヨセフ、アンナの4章で構成されています。美術書として読んだので、最初30ページ程度が聖書、外典などの文献の引用して書いてあるので読むのに時間がかかりましたが、その後は一気に読めました。第1章の受胎告知は今までフラ・アンジェリコのイメージが強く、あとは画家が違うだけの印象しかなかったのですが、天からの光の向きなど微妙な違いが興味深かったです。第2章の無原罪の御宿りは、ムリーリョのイメージが今まで強かったのですが、時代により表現が少しずつ変化し、これほど多様なタイプの絵があるとは知りませんでした。第3、4章のヨセフとアンナは時代の経過で浮き沈みがあるのが興味深かったです。特にヨセフの変わりに旧約のアブラハム、アンナに関連して聖親族の図像が出てくるところなどは勉強になりました。図版は大半がイタリア、後半にドイツの絵画が掲載されています。なかにはレアな図版もあります。第4章を読んでフランクフルトに行きたくなりました。
本来は星5としたいのですが、星4としたのは巻頭のカラー図版で解像度の悪い絵画が数点あるためです。あと、書名は他に考えられなかったのでしようか?「処女懐胎」だと書店で手に取らない人もいると思います。