’94〜’04年に発表された短篇6作品が収録された短編集。初出はビックコミックオリジナル増刊のものが多い。
4篇は動物を描いたものである。題材は幻の白いヘラジカ、アラスカの狼、マタギの猟犬と熊、寿命をむかえた鯨である。動物と人間の信頼あるいは闘いが描かれている。
どの作品も甲乙つけがたいが、一つあげるとすればアラスカでの狼と一人の男の息詰まる闘いを描いた『白い荒野』であろうか。この作品はジャックロンドンの「白い牙」の第1章を再構成した作品とある(私のしらない作家なのだが…)。
残る2篇のうち1篇はマンガ家修行時代の著者と思しき青年の住んでいるアパートでの日常を綴った小品である。スケッチのようであるが何かほっとする作品である。
私にとって、動物を扱い優れた小説を書くのは吉村昭であるが、優れたマンガを描くのは谷口ジローである。