『勝利にはまだまだもっと、人として大きくなってもらわねばなりません。
ここから先、どんなことが彼の上に起こったとしても、どうか皆さん。勝利を見捨てずにいてやってください』
前巻「消せない告白」のあとがきで、作者・村山由佳はこのように書いた。
そしてその「どんなことが彼の上に起こったとしても」というのが、今回のラストに起こる事故を指しているらしい。
つまり、勝利が人として大きくなる為の『試練』として、今回の事故を作者は起こした訳である。
最悪の場合、「二人」の命を失う怖れのある事故を。
そんなことをしなければ、勝利は人として大きくなれないのか?
読者からの批判や嘆願を無視してまで、どうしても起こさなければならない展開なのか。
この疑問がどうにも自分の中で答えを見つけられなかった。
そして、単にショッキングな内容で読者を惹き付けようと言う安易な発想ではないかという疑惑も拭えなかった。
少なくとも、ようやく明らかになった「かれんの相談事」や原田の妹・若菜のトラブルなど、
今巻の大半を占める内容がわずかラスト1・2ページの為に全て吹っ飛び、
恐らく次巻は事故の後のことでほとんど埋め尽くされるのは間違いないだろう。
人によっては、陰鬱で読み進めるのが耐えられなくなるかもしれない。
勝利の進路、かれんの今後、二人の関係を花村夫妻に伝える件、
かれんの祖母の件、星野の件、丈と京子の件、若菜の件・・・。
ただでさえ問題山積みだというのに、それらが解決するまでに果たしてこの先何年・何巻続くのか。
そして、本当にこの「おいコー」シリーズは読者の望むハッピーエンドを迎えてくれるのか。
作者・村山由佳を信じてついて行くのか、それとも諦めるのか。
読者が選択を迫られる巻だと言えよう。