『手を掛けたな』という作品。美術の世界に生きる主人公と美しいハーフの女性の話。
エンヤの楽曲や、フィレンツェ、ミラノの風景を取り入れることでどこまでもスタイリッシュに仕上がった作品だ。
ドロドロした恋愛でもなく、かといって子供っぽい恋愛でもない。しっかりと社会人として働く二人の大人の物語で、そこに少しだけ幼さが見え隠れしている。青春時代の記憶を懐かしむ二人は、共にそれが青春期にしかあり得ない恋の形だと知っている。知っているのだが、それでも忘れることが出来ない。十年の時を越えて、約束を果たす瞬間、二人はまたかつての関係を取り戻すことが出来た。
竹野内豊とケリー・チャンは歴史ある舞台に負けない外見を持っているから、最後までバランスが崩れることなく演じ切れたのだと思う。少しでも、俳優の選択を誤れば、風景や音楽の方が登場人物よりも「美しく」なっていたかもしれない。
そういう点では、すんなりと見ることが出来たが、全体を通して主人公が大人し過ぎた気がする。これでは「冷静と情熱のあいだ」というより、「冷静八割に情熱二割」になってしまう。確かに「あいだ」ではあるが、せめて「冷静五、情熱五」でいってほしかった。