日活はもともと「親分衆」が作った会社だし、そのアグレッシブさには定評がある。
一時期危機に瀕したが、仮に世の中「東宝」「東映」「松竹」「大映」だけだったら、日本映画の成長は
なかったと思う。黒沢清も中田秀夫もこの園子温も日活育ちだしね。
本作は「紀子の食卓」「愛のむきだし」に続く園組の問題作だが、メイキングを観ると園監督の私生活が
荒れている頃にクランクインしたらしく(笑)、更なる問題作になっているのが凄い。
大元は埼玉の愛犬家殺人事件をモチーフにしているが、内容はエロとグロに満ちたとても他社では作れないものだ。
本物の事件現場「アフリカケンネル」の真横を偶然車で通った時には、なぜか震えが来てしまった、あの事件の再現。
「自殺サークル」の頃から園監督はちょっと「おかしい」系統(笑)だが、本作はその頂点ともいえる。
殺人鬼・でんでんの狂気と、それに翻弄される吹越の狂気は全く違うものだが、普段助演が多いふたりの対決は
まさに鬼気迫る迫力があった。
それから神楽坂恵と黒沢あすかの艶っぽさは「にっかつロマンポルノ」を想起させるくらいの「いやらしさ」で魅せる。
特に黒沢あすかのド迫力は特筆もので、とても3人のお子様がいるとは思えない妖艶さ!
殺害した人間を「消す」シーンなどは、とても見られた現場じゃないが、黒沢が切り刻んでいるシーンなどは
ある種のエクスタシーさえ感じさせる。
これからまた本格的に女優復帰したいそうだが、いい作品+監督に巡り合ったものだと思う。
園監督の作品はもともと「ヘン」な人しか出てこないが、今回は宗教色は薄い。薄いがキリストを「消す館」に配置
するなど、ギミックとして使用しているのも見事だ。
特典映像もメイキングなどテンコ盛りだが、SD映像だったのが残念。
そんな中で、三池監督とのトークショーは最高に楽しい。カットだらけでまともに収録されていないのだが、
それだけ現代の日本映画に対する大批判が繰り広げられたようだ。ぜひノーカットで再発売して欲しいなあ・・・(笑)。
アマゾンゴールドの女性たちが、本当はでんでん演じる社長の「喜び組」だった、などの映像に入りきれなかった
情報も音声解説で聞くことが出来る。
それから、カンヌに招待された場面で、でんでんと黒沢が招かれているのも嬉しかった。なかなかTV局映画で主演級
を取るのが難しい俳優たちだからね。
星は文句なしの5つです。