旧版(SFマガジン・ベスト 1)もずいぶん昔に購入して持っているので、表題作の評判に依存して他の作品を抱き合わせするのか...と当初は手を伸ばす気にならなかったのですが...
伊藤典夫さんのあとがきを読んでついつい購入してしまいました。
表題作が名作なのは今読んでも変わらず。インパクトの強い作品だけに設定も文章も脳裏に焼き付いてしまい、逆に再読する必要性を感じていなかったのですが、やはり実際に読むのと頭で反芻するのとは違います。
新規の7作品は、メインストリーム寄りのファンタジーが多いですが、期待以上に面白かったです。
50年代のSFとしてイメージする、無邪気なセンスオブワンダーの匂いもあり、テクノロジーや政治が人間性を失わせるというイデオロギーの痕跡も残しつつ、純粋なSFでないだけに古びるのを免れた作品たち--2011年になってこれらをアンソロジーに組んでくれた伊藤さんと編集部には、やはりその商売っ気を別にして敬意を表さなくてはならないでしょう。
表題作未読の方ならぜひ、既読の方も損したとは思わない短編集に仕上がっていると思います。