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10 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
中高年の心の傷を癒してくれる,
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レビュー対象商品: 冬物語 (文春文庫) (文庫)
戦後最悪の失業率となっている今の日本は、誰もが皆いろいろな悩みを持ち、傷みを負って生きています。でも、それを打ち明けられないのがまた私達、とりわけ中年のサラリーマンたちです。皆、元気そうな顔を作って日々を生きています。 95年から96年に発表された12の小品集は、こんな私達の悩みや傷を癒してくれるようです。悩み、傷を負ったのは自分だけではないんだと。もっと苦しんだ人もいる。家族の愛、季節により移ろいゆく信州の自然、山の清流での釣り、そして病んだ人とのつながりなど・・・・・・徐々に回復していく著者の姿が、静かな語り口で、優しく綴られています。 南木さんのファンになってしまった私が最初に巡り合った作品です。多くの悩める方々に勧めます。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
短篇は新鮮さを失わない,
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レビュー対象商品: 冬物語 (文春文庫) (文庫)
250ページほどの分量に対して、12の短篇。ひとつの話は20ページくらい。とても短い。話自体はどうということはないのだけれど、「急須」という話が好きだ。 軽いうつになって、大学に行くことができず、部屋で急須をみがくことで現実逃避をはかる医学生。 たまたま参加した、大学病院の患者を学生が実際に診察するという授業で、彼が看たのは、急須を買った店の店主だった。診断は、ガン。もう長くない。彼は、急須を買う際に、芥川を読んでいた店主と、夢中で芥川談義に花咲かせたのを思い出す。 芥川談義がいい。短いけれど、静かな彼らの熱気が、思いが、伝わってくる。 「芥川ですね」「うん、そう、芥川。昔の本だけど、今読みなおしてみると、あらためていいよね。この急須みたいに、芥川の文章はバランスがいいよね」「芥川の作品ではなにが一番お好きですか」「『秋』には全体に大正末期の東京郊外の秋の空気が感じられるんだよね。セピア色で、品がいいんだよね。せつない恋の物語ではあるんだけれど、登場人物たちが澄んだ秋の空気にくるまれているから清潔で上品なんだよね。いいよね、『秋』は」 もしこれが長編なら、もっとじっくり語るのだろうか。すみずみまで、細かく。でも、これだけなので、僕は芥川が読みたくなった。 登場人物たちと、読者の僕が、この文章を通じて同じ方向をむいた瞬間、という気がする。そしてこのひとときを彼らと共有した読者は、だからこそ主人公の思いに共感せずにはいられない。「もっと小説の話をしておけばよかった。気軽に店に寄ればよかった」と。 この中の短篇には、南木さんのこれ以前の作品で、もっと長いエピソードとして既に語られていた話を、モチーフとして再び取り上げているものもいくつかある。でも、その味わいは随分違う。長い作品に対しては、読者はじわじわと、体を慣らしながらその世界にもぐっていく。エピソードの与える感覚は、いつの間にか、読者の一部になってしまっている。そのことに気づかないことさえある。 短篇は、自分のいる、いつもの世界とは違う世界を、あっという間に走り抜ける感じだ。新しい感覚が、熱いままに体に残る。それがわかる。だから、短篇はいつ読んでも新鮮だ。 素直な文章の中に切れ味のするどい一文をまぎれこませるような南木さんの文章には、こういう短い短篇のほうが合っているのではないか、と思う。
5つ星のうち 5.0
泣ける,
By 彼方 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 冬物語 (文春文庫) (文庫)
個人的にはワカサギ釣りの話の最後の臨終の場面が一番泣きました 他の話もかなり深々と考え込んでしまいたくなるほどいい話ばかりです
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