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冬の鷹 (新潮文庫)
 
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冬の鷹 (新潮文庫) [文庫]

吉村 昭
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (14件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 文庫: 361ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1976/01)
  • ISBN-10: 4101117055
  • ISBN-13: 978-4101117058
  • 発売日: 1976/01
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (14件のカスタマーレビュー)
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最も参考になったカスタマーレビュー
15 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By gonbe
~オランダの医学書『ターヘル・アナトミア』を訳した『解体新書』
オランダ語を日本語に訳した満足な辞書もなく、師となる人もいない。
そのような時代に、いかにしてオランダの医学書が翻訳されたのか。
この本はそれを教えてくれる。

たぶん、多くの人がそうなのだろうと思うのだが、
~~
私は、『ターヘル・アナトミア』の訳業に前野良沢という人が中心的役割を担ったということを知らなかった。
もちろん、学校でもその名前を教えてもらった記憶は・・・、ない。
私の頭の中では、『解体新書』=杉田玄白だったのである。

そんな私が、みなもと太郎先生の『風雲児たち』で、初めて前野良沢を知った。
~~
『風雲児たち』の中の、前野良沢に男惚れをして、
彼をもっと詳しく知りたくて、買った本がこれなのだ。

訳業の中心的役割を担いながら、ついにその書に名を残さなかった前野良沢。
その書の刊行とともに、大医家への階段を駆け上がった杉田玄白。
その光と影のような対比の中に、二人の価値観、人生観が描かれる。

良沢八十一才、玄白八十五才。
~~
光に背を向けた人生と、光を目指した人生と言えるかもしれない。
人生の終焉における立場はまったく違ってしまったけれど、
それぞれの人生において、きっと幸せであったに違いない。

「誠に櫓舵なき船の、大海に乗り出だせしが如く・・・・」
この海に、果敢にも挑んだ人々に、感謝。~

このレビューは参考になりましたか?
10 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
本書の主人公「前野良沢」はオランダの医学書「ターヘル・アナトミア」を全くの手探りで訳出した人物である。
40歳を過ぎてオランダ語を体得しようと学習を始めた良沢だが、彼の才能と努力をしてでも江戸と長崎で得られた知識はわずか400語程度の語彙でしかなかった。

ある日、腑分け(解剖)に立ち会ったとき、刑死者の内臓が、ターヘル・アナトミアの解剖図と全く同じであることを目の当たりにして、なんとか翻訳を成し遂げたいと強く思うに至る。偶然、同じ原書を入手していた杉田玄白らと協力して翻訳作業をはじめるものの、ネイティブの講師がいるわけでも蘭日辞書があるわけでもない。わずかな頼りは数百語のボキャブラリーとほとんど理解できない仏蘭辞書のみ。「頭とは人体の最も上にあるもの」という一文を訳するだけで膨大な無駄と沈黙と迷走を経ている。その繰り返しは、太平洋を手こぎボートで横断するようなものであろうか。
進んだ西洋医術や文化を吸収し日本の発展の礎を築こうとするすざまじい迫力と根気には脱帽するばかりである。

良沢と玄白という二人の蘭医の生き様の対比が小説としての魅力になっているが、同時に、日本における技術翻訳の原点を見るという意味でも大変興味深い作品となっている。

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17 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By kewpie VINE™ メンバー
「解体新書」成立事情を綴った書物としてもっとも人口に膾炙しているのは、杉田玄白老年期の回想「蘭学事始」であろう。私はこれが好きで、過去に何度か読んだ。また、みなもと太郎畢生の名作まんが「風雲児たち」では、玄白はチビ太、前野良沢は佐分利信の顔で登場している。これもインパクトの強い作品である。「冬の鷹」は前野良沢を主人公とした作品であり、ちょうど「蘭学事始」を裏面から見るような印象がある。私は読みながら、どうもチビ太と佐分利信の顔が浮かんできて困った。

前野良沢の偏執的な潔癖さと、実を取る玄白との対比。学問の進歩には知見の交流が必須であり、その点では玄白の処し方が正しい。どんなに立派な研究をしても、発表しなければ何もしないのと同じ、というのが学問の世界である。良沢の態度は極度に自己完結的であり、蘭学の進歩、学問の将来という視点を欠いている。名利を求めることを罪悪視するあまり、時代に必要な書物の出版を拒否し続けた彼の狭量さは、やはり名利に囚われていたともいえる。日本人には良沢のストイシズムが受けるかと思われるが、一大学派を築いた玄白の方が、時代の要請によほど応えている。

しかし、私には良沢に似た部分が多少あるので、彼の気質を一方的に非難する気になれない。これは彼の性(さが)であり、仕方のないことなのである。ただ、学術的精度よりも実利を重視し巧みに世間を泳ぎ抜けてゆく玄白を目にして、彼が狷介の度を一層増したことは想像に難くない。晩年の良沢の落魄は、玄白の隆盛に対する鏡像であったといえる。

本書は、記述にすぐれたリアリティーがあり、小説として上質な作品である。ただ、優れた作品であるだけに、その事実性には疑問が残る。すなわち、学術的資料として用いてよいものか、そのあたりがはっきりしない点が惜しまれるが、それこそこれは「ないものねだり」というべきであろう。

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吉村昭があこがれる前野良沢の生きざま
... 続きを読む
投稿日: 1か月前 投稿者: shunp
既成概念が崩れました
『解体新書』の著者といったら杉田玄白というのが通り相場ですが、実は彼が翻訳した訳じゃなかったんですね。彼よりも蘭学を真剣に研究していた前野良沢という人物がいて、初... 続きを読む
投稿日: 4か月前 投稿者: jiateng4
おしい!
吉村昭の大ファンで、主だったものはすべてよんでいます。本書も大変楽しく読めたのですが、読む前に抱いていた期待感は十分満足されませんでした。私が期待していたものは、... 続きを読む
投稿日: 14か月前 投稿者: zara
辞書も文法書も教師もなくても、語学はできる
江戸中期におけるオランダ語学習環境は、想像を絶するほど厳しかった。翻訳をしたい本があっても、それを訳す手がかりは、オランダ通詞が気まぐれに教えてくれる少数の単語で... 続きを読む
投稿日: 20か月前 投稿者: 東淀川大学雑学部雑学科
なぜ名が記されていなかったのか
艱難辛苦、刻苦勉励、ターヘルアナトミアを訳出した前野良沢と杉田玄白。
しかし完成した『解体新書』には、前野良沢の名前は記されていなかった。... 続きを読む
投稿日: 22か月前 投稿者: Gori
江戸のプロジェクトX
 江戸時代という制約の中で、必死に一大プロジェクトを成し遂げた男たちの物語。言ってみれば江戸のプロジェクトXといったところか。... 続きを読む
投稿日: 2008/9/20 投稿者: ishilinguist
現代に続いています
ターヘルアナトミアを翻訳した杉田玄白、前野良沢。出版には反対し良沢は玄白とは別の道を歩んでいくことに。この翻訳作業の場面は、読んでいる自分が憂鬱になってくるのが判... 続きを読む
投稿日: 2007/7/19 投稿者: 左近
前野 良沢への解釈が極端
吉村昭の流石に重厚な筆致を彼の日本医家伝を読んだ後でさらに感じたし、実に面白く読めた。だが、あまりに前野... 続きを読む
投稿日: 2007/7/14 投稿者: yktkaji
「判官贔屓」の危険性
... 続きを読む
投稿日: 2004/5/9 投稿者: ussoewwin
「解体新書」にかける、前野良沢の人生
1è'3aäoo¨£è§£ä"-°... 続きを読む
投稿日: 2003/3/29 投稿者: "cortot"
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