全編にわたって、あどけなくも、当惑と不安の入り混じった状態を主人公を演じた子役キム・セロンは、天才的なまでにドキュメンタリーかと思うような演技で表現します。
ドラマに大きな起伏があるわけでもなく、子供の想いをそのまま切り取るだけで、大人が持つ感情を押し付けようとはしません。だけど、傷ついた彼女が現実を受け入れていく様子を散文的に描写する映像は、張りつめたトーンに満ちています。伝わってくるリアルさが素晴らしい。それは、カメラワークによるところが大きいかもしれません。カメラの視線は、施設の庭の地面や、家具や布団などをとらえ、大人たちの顔からは遠いものとなっています。
いつか迎えに来てくれると信じ、現実を受け入れられず仲間の子供達となじもうとはしないジニ。年上で活発な園児のスッキ(パク・ドヨン)などにイジメられ、そういう悲惨さが続くのかと思わせますが、そういうありきたりの展開にはなりません。むしろ、彼女らは互いに助け合い、毎日を過ごす。その比較的「あたりまえ」のようなドラマ進行がかえって新鮮でした。
以下、読んでも大丈夫とは思いますがネタバレを含みます。
反抗をくり返しながらも、受け入れざるを得ない現実。それらの辛い事実の重なりが、ジニに現実を自覚させてゆきます。
ハイライトとなるのは、ジニがソッキと共に埋めた小鳥の亡骸を掘り起こし、その場所を毎日小さなコテで掘り続け、人間が埋葬できるほどに掘り起こします。そして、その大きな穴に横たわり自身に土をかぶせるシーン。死を意識したその行為は、過去の自分を封印し新しいジニとして生まれ変わる通過儀礼となります。その日からジニは現実を認識し、受け入れ、変わっていきます。