05年から08年にかけてビックコミックオリジナル増刊に発表された、一話完結方式の連作長篇。7話が収録されている。
オビには、谷口ジローが自身の若かりし頃を重ね合わせて描く自伝風・愛の連作!!とある。!!とあるが派手な内容ではない。原作つきのマンガを発表しなくなってからの著者のマンガの特長である、静かでゆったりとした時間が流れる作品だ。
もっとも現在連載中のシートンは原作つきといえるかもしれないが、もともと谷口ジローはオリジナル作として動物を題材とした作品を多く発表しているので、わたし自身は谷口ジローのオリジナル作だと考えている。
いつものことだが、地味だけどいい作品を読んだ、というしみじみとした気分にさせる一冊だった。
劇画(当時から本人は劇画を描いているつもりはないといっていたらしいが)を描いていた頃の谷口ジローの発表場所はマイナーな雑誌が多かった(大手といえるのは双葉社くらいだったはず)。現在でも、彼の描くマンガは、絵柄も内容も今のマンガ界の主流ではない。しかも奇をてらったところは一つもなく相当地味だ。
だけど、この作品がそうであるように大手出版社から発売されることがほとんどだ。きっと読者以上に彼のマンガを読みたい(彼に描いて欲しい)という編集者の存在があるからなのだろうと思う。読者のファンもいるけど編集者自体がファンだというマンガ家、それが谷口ジローというマンガ家なのではなかろうか。
ところで、余韻の残る終わり方をしているこの作品、続編が描かれることはないのだろうか?読みたくてしょうがないのだが・・・