何よりもまず、表紙の『指差確認をしているC62機関士』の写真を見て一気に"あの頃"に戻ってみたくなりました。
本書の写真は1950年代後半から70年代半ばまでのものが殆どであり、まずは第一部の断片的な『70年代の鉄道風景』から始まり、第2部の『鉄道昭和史』からは、時代を追ってテーマごとに整理された鉄道写真に思いを馳せる事になります。まずは『高度成長期』、時代はまさに連続急勾配でした。・・・旅行も帰省も、酷暑や厳冬のホームで列車を待ち、混み合う列車に乗って窮屈な中、思い思いの過ごし方で目的地まで揺られて行った時代の写真が満載です。ディーゼル特急、SL、上野駅など懐かしさが"てんこ盛り"で載っています。乗車した事は有りませんでしたが、修学旅行電車はまさに2度と帰らぬ時代をしっかりと心に刻んだ事と拝察し様々な想像が頭をよぎっていきます。『日本に特急が走った日』では、ディーゼル特急が再度紙面を飾り、大馬力エンジンの唸りが響いてきそうです。『新幹線開業』では、開業間もない新幹線0系の精悍な姿が紙面を飾ります。あの旧国鉄PR華やかなりし『ディスカバージャパン・・・』では、電車特急が百花繚乱の如く全国の幹線を疾走し、軽やかにスターダムに駆け登る一方、消え行くSL牽引の旅客・貨物列車の写真が良い撮影で納められており、特にSLの哀愁漂うも力強い姿は20世紀鉄道のマイルストーンとして記憶にいつまでも残っていく事でしょう。そして『栄光のブルートレイン』をめくっていると知らない間に"夢の世界"に誘われて行きました。本書の写真では特に"白黒"に洗練されたものが多く、鉄道愛好家の方だけでなく、写真家の方達にも楽しんでもらえる一冊です。