フランシスの妻の死による断筆、名訳者菊池光の死、というような苦難を乗り越え、競馬シリーズが再開された。
今回の主役はシッド・ハレー。このシリーズをずっと読んでいる方には、読めるだけで幸せなんだろう。
競馬シリーズは好きだが競馬も他のギャンブルもやらない私に取っては、作中で触れられる”かけ”のシステムが理解できなかったが(積極的に理解しようともしなかったけど)、今回は主人公だけでなく、登場する女性達が光っていた。
前妻と現彼女との関係は、あまりに男の理想的過ぎる、という批判を女性陣から受けるかも知れない。
とにかく、騎士道精神を有する紳士が、苦難、苦境を乗り越え、事件を解決し、ハッピーエンドで終わる。こんなミステリは、最近、あまりなくなった。
訳者の交替は、さほど気にならなかった。4度も登場したハレーは別として、競馬シリーズの場合、主人公がその都度変わるので、文体不一致などの悪影響を回避できたのかも知れない。