前巻からの引き続きで、徐々に物語が一か所に収束し、
さらにここから何かが変わって進んでいく予感が感じられる
終わり方が良かった。
1巻から登場しているエレオノール・ナガンが葛藤の中で
出そうとしている答えが、武原仁が進む道と今後交錯するの
かどうかに注目している。
また、<協会>に対して、良いように劣勢に立たされている
<公館>が今後どう挽回し、今回の事件に決着をつけるかは、
前回のグレン事件からの流れも踏まえて、楽しみだ。
様々な人間がそれぞれの立ち位置で物語と関わっていく群像
劇として、厚みが出てきておもしろくなっている。背景としての
世界設定もだいぶ説明がこなれてきたと思う。再演大系について
の謎も徐々に明らかになりつつあり、今後の作品の中でどう核心
になっていくか期待している。
しかし、期待や楽しみが増えるほど、次巻以降の結末が気に
かかってしまう。色々な思惑を持った人間が会する地下で、主人公
たちだけでなく、それを読む私たちも納得できる結末を迎えることは
できるだろうか。それから、今回の物語の最初に出てきた武原舞花
の「泡」について、その謎は今巻でも明らかにならなかった。
そうした諸々の結末が次巻以降に持ち越しになり、事の顛末を
見ることによる快感をお預けにされている読者は、なによりも
メイゼルの喜ぶ対象となっているに違いない。