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10 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
ゆっくり読みたい大人の小説,
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レビュー対象商品: 円朝の女 (単行本)
伝記としては永井啓夫の『三遊亭圓朝』(青蛙房)にとどめを刺し、円朝を主人公にした小説といえば、小島政二郎の『円朝』と正岡容の『小説圓朝』は現在でも河出文庫で入手できる。さすがに長谷川幸延の『寄席行灯』は古本屋でも見つけることは難しいかもしれないが、虚実入り交じっているとはいえ、これら様々な作品を通して三遊亭円朝の生涯を追うことはできた。しかし、考証が行き届いていても、これらの小説はいま読むとピンとこないことも確かなのだ。その点で、この『円朝の女』は、これらの「古典」というべき作品と比べても全く引けをとることなく、十分に現代に通用するエンターテイメントになっている。厳密には円朝が主人公ではないのだが、2007年の辻原登『円朝芝居噺 夫婦幽霊』と並び、江戸から明治へと大きく変わっていく日本が描かれた、文句なく面白い時代小説といえる。
8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「哀しみ」を抱えた女たち,
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レビュー対象商品: 円朝の女 (単行本)
時代は江戸から明治に変わる頃、近代落語の礎を築いた三遊亭円朝を愛した5人の女たちについて書かれた連作短編集です。
この本の一番の特徴は、何といっても「語り」です。 帯にも春風亭小朝が「絶品!」と語っていますが、その文体と言うか「語り口」の上手さに舌を巻きます。 設定は、円朝の五厘(マネージャーのような仕事)を務める円八が過去を振り返って、円朝を愛した女性たちについて語って聞かせると言うものです。 しかも、この円八なる人物は円朝の弟子で真打を目指していた人物と言うことなので、まるで落語の語り口、もしくは講談を聞くような感じで、この本を読むことになります。 5人の女性はそれぞれ特徴的で、武家娘が2人、花魁が1人、芸者が1人、もう一人は芸人の娘で円朝に養われている娘です。 個人的に一番好きなのは第一話の「惜身(あらたみ)の女」で、まだ名前がそれほどでもなかった頃に、贔屓にしてもらった武家屋敷の娘で、身分の差があり越えられぬ溝を自覚しながらも惹かれてゆく二人の間が描かれています。 この円八の「語り」で語られる女性たちは、表面的には健気に立ち居振る舞いをしていますが、要所要所で流す涙に女の性を感じさせます。 まだまだ江戸の雰囲気の残っていた時代、5人とも当時としては進んだ考え方をしているようにも見えますが、その時代の中で「哀しみ」を抱えて生きているように感じました。 でも、それぞれ円朝と言う「男」を愛したという、その面では十分に幸福だったような気がします。
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
明治の市井を描いた時代小説,
By rufas (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 円朝の女 (単行本)
落語ファンでなくても大丈夫。
たとえば、岡本綺堂の『半七捕物帳』や 浅田次郎の『天切り松 闇がたり』が好きな人などであれば ぐいい、と引き込まれるだろうなと感じさせる小説です。 単行本の帯で春風亭小朝さんの「語りのうまさ、絶品!」 とのコピーが紹介されていますが、 狂言回しによる語り口で描かれる市井の女性たちの生き方は、 あたかも老齢の親戚から昔話を聞いているようで、 読みはじめれば、瞬時にタイムスリップできます。 講談の義士伝でいえば外伝、銘々伝にあたるような サイドストーリーです。 冒険活劇のような派手さはありませんが、 それぞれの生き方はなかなかドラマチックです。 明治の暮らしはきっとこのようであっただろうなと 納得させる話題や設定、自然な描写が読みやすいと感じました。
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