源氏物語の雅の世界をそのまま現代語に置き換えると同時に、過去一千年以上にわたって人々に絶賛されてきた大河小説としての魅力を「若い人も読めるように」と3冊に縮訳した「円地源氏」の第2巻。第1巻に続き、54帖の内の「絵合(えあわせ)」から「雲隠(くもがくれ)」までの25帖を収めています。(この最期の帖である「雲隠」、実は……。ぜひお確かめください!)
長大小説の源氏物語を、たとえ現代語訳であっても途中で挫折してしまった人はこれまでも多かったはず。そんな一人である私も、この一冊によって光源氏の死までを読みとおすことができました。
第1巻では一度は須磨・明石での不遇の日々がありながらも人生の上り坂にある光源氏を描いていますが、それに続く第2巻では、社会的な地位としては帝に準じる准太政天皇という地位にまで昇り詰め、紫の上を始めとした女君たちを集めた豪壮な邸宅を造営し、娘を時の帝の中宮にする、という何一つ欠けるところの無い光源氏の人生に、実は数々の陰が忍び寄る後半生が描かれています。圧巻なのは何と言っても「若菜 上・下」の2帖。ここで光源氏は自ら犯した若き日の過ちの報いを受ける。またその晩年である「御法(みのり)」「幻」の2帖では当代一の貴公子光源氏の最期とは思えない寂しく悲しい日々が展開されます。その意味で、この第2巻に収められた25帖は、表面上の華やかさとは裏腹に人間の業や運命、因果応報といった極めて重いテーマが扱われる。さらに、今で言う中年から壮年期を迎える光源氏は相変わらず美女とあれば誰にでも秋波を送りますが、何とこの光源氏を相手にしない、あるいは拒絶する女君たちが登場するのも現代で言えば「オジサンの悲哀」とも言えるでしょうか。
是非、光源氏の後半生をこの巻2で味わっていただきたいと思います。