「2001年3月、エンロン株終値61ドル48セント、出来高411万2900株」という記述から告発は始まる。夢多きエリートは入社後すぐ、「401k(確定拠出年金)に拠出した金額がいくらであれ、会社が半額に見合う金額を拠出する」という案内書を目にして「やったぜ。丸儲けだ」とほくそ笑む。
しかしこの後、株価が上昇することはなかった。著者は半年も経たないうちに、膨張を続ける取引の陰に潜む不穏な動きを察し始める。「9.11」テロ事件の前後に社内を支配していた空気を伝えつつ、次のように証言する。「(その時点で)リスク評価・管理部門か監査法人アーサー・アンダーセンの誰か責任者が全体状況を把握していたことは確かである」。
その後、次々に明るみに出た3000にも及ぶ子会社への損失のつけ替え、例を見ない粉飾会計。著者は、予告なく上層部から示される会計報告、言い訳や自己防衛に満ちたeメールをそのまま紹介する。困惑する取引先とのやり取りを子細に再現するなど、他のエンロン事件関連本とは異なるリアリティーを伝える1冊だ。
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