内藤忍の「資産設計塾」シリーズ、今回は外貨建て資産への
投資に特化した一冊である。
一言で外貨建て資産への投資といっても、各通貨建ての外貨預金や
MMFにはじまり、外国株、外債やそれらを組み入れた投資信託、
デリバティブ商品、不動産投信(REIT)などまことに幅広い
金融商品があるわけだが、本書では現時点で日本に在住する
個人投資家が買える商品をほぼ全て網羅して取り上げている。
外国資産に投資してみたいがどんな方法があるのか分からない、
あるいは金融商品同士の比較を行いたい、といった向きに、
本書はまずは資料として一級の価値を持っているといって
よかろう。内藤の努力を多としたい。また、外貨建て資産の
リスクやリターンをデータとして揃えるのは意外に手間が
かかるが、この本はその点も抜かりなくまとめて提示している。
内藤は外国資産への投資の方法論についてもオーソドックスな
アイディアを提示しており、好感が持てる。ヘッジコストを
考えると個人が為替リスクをヘッジする必要はない、まずは
各国のGDPに応じて資産配分を考える(すると新興国にむやみに
多くを配分することはなくなる)、運用コスト(手数料や税金)
にもきちんと目配りして商品を選ぶ、等々である。
それにしても本書を読んで、改めて外貨建て資産にはコスト高の
金融商品が多いことに驚かされた。評者はS&P500型のETFと米国の
ゼロクーポン債を保有しているが、正直なところ外貨建て資産の
投資信託などはますます買う気がなくなった。内藤はせっかく
マネックス証券の経営に参画しているわけであるから、本書の
刊行を契機にしてよりいっそう低コストな金融商品を提供する
よう努めてもらいたいところではある。
実行に移すにせよ移さないにせよ、本書は外貨建て資産への
投資について考えを深めるよいきっかけになるだろう。現時点
では類書がないこともあり、個人投資家にとって必携の一冊と
評してよいのではないだろうか。評点は満点にします。