近代経済成立以降における覇権国家の移り変わりをエネルギー効率革命の歴史に埋め込み、次の経済的覇権国家は日本だと主張するユニークな一冊。
「
日本文明・世界最強の秘密」等で、著書は鉄道網のエネルギー効率の高さと就労人口の集中が生産効率を向上させると主張していた。田中角栄以来の国土全体へのインフラ投下は経済上不利だ。沢山の人が鉄道で安全に自由に出歩ける大都市圏であるからこそ、女・子供・大衆向け文化・産業が花開く。クルマ社会では、男・大人・エリート向けの社会構造になってしまう。
話の掴みとして、日本は米国債投げ売りにより世界恐慌を引き起こせる力を持っていると言う。失ったあぶく銭をまたこつこつと積み上げようと決心できる日本だけが世界経済破滅のボタンを握っている。これは一つの安全保障なのではなかろうか。
本論の覇権国家とエネルギー効率については、オランダ(水車)→イギリス(蒸気機関)→アメリカ(石油・車)→日本(鉄道)という観点で移り変わる歴史を説明している。覇権国家の条件として、各国は人口減→生産効率向上→バブル崩壊→知的エリートの衰退→大衆の発言力向上という歴史を辿っている。これに、国内が比較的方言の少ない言語で統一され、高等教育まで自国語で出来るという条件も付随する。
自称知的エリートに仕切らせるな。日本には、間違い無く鉄道、オタク、女・子供による経済繁栄が待っているというこの本は文句なく面白い。