ガニメアンシリーズの最終話。
前作の架空戦争で敗北を喫し、ガニメアンの管理下になった惑星ジュヴレン。平和に向けて進んでいるのかと思いきや、ジュヴレン人の中では妙な新興宗教が次々に発生しお互いに対立を始めた。対応に苦慮したガルースは遥か地球の友人ハント博士の助けを求めた。かくしてハントはダンチェッカーとともにジェヴレンへ赴く。
シリーズ初期の頃はこれ以上ないというほど純SF作品だったが、だんだんリアルな科学検証のシーンが減ってエンターテイメント色が濃くなってきた。だから作品が面白くなくなったかといえば、全くそんなことはないが、毛色が変わってくるのは「星を継ぐもの」ファンとしては少々寂しい気もする。
今作では宗教や種族の溝が事件のきっかけになっている。ガニメアンは相互理解を深めようといろいろ手を打つが、ジェヴレン人には全く通用しない。両者の間には根本的な世界観の違いがあって、それが大きな障害なのだが、お互いそんなことは知る由もなくただ不満を募らせるばかり。なんだかそれってどこかで聞いたような話だ。読みながら、現実に起こっている世界各地の紛争に考えがいってしまった。地球人同士だって理解しあうのは並大抵のことではないのだから、宇宙人でしかも争った過去があり現在権力的に上下になっていれば、いくらガニメアンが温厚な種族といったって無理がある。ジェヴレン人は何やらよからぬことを企んでいるようだし、下巻で話がどう転ぶか楽しみだ。
ちなみに人口頭脳ジェヴェックスの幻想を体験したいのだが、これって現実逃避だろうか…。