前々作のような「3ピースバンドとしてやれることは全部やってみよう」的な作為は感じられず、前作のような吹き上がる激情イケイケで押し通すような凄まじさもない。なので結構地味な印象を与えてしまうようなこのアルバムなんだが、「これまでやってきたことはなんだったんだ?」とは決してなっていない。曲の凝り方は尋常でないのに作為めいたものは全く感じないし、前作でもここまではやらんかっただろうってくらいわめき、叫びまくっておきながら、ふう、と息をつく場所がちゃんと用意されている。あのライブを体験したことのある人なら、暴れまくってサウナでカオスだったフロアに吹くはずのない風が本当に吹いたような瞬間や、溜めに溜めておいてここぞ、とばかりに爆発するエネルギーを手に取るように感じられるだろう。
だから、とってもイースタン。なのにひどく聴きやすいのだ。これだけ音を詰め込んでおいて何で?と考え込んでしまうくらい。
曲タイトルにも現れているが、季節の情緒を感じさせる曲が多い。ていうか#9なんて土砂降りの雨の中でひたすら激昂しているだけの曲で、教訓も別れた仲間も恋人も出てこないのにこのかっこよさ、目に浮かぶ情景の説得力はなんなの?「死んでるみたいに生きたくはないから」とか「命賭けて笑えるなら」みたいなメッセージ性ひしひしな歌詞はなくとも、これでもかってくらい「生のドキュメント」。十二分に心は揺さぶられてしまう。
イースタンユースの底力をひしひしと感じるこのアルバム。実は最高傑作なんじゃないか?