本書は、2009年にお亡くなりになられた日本の軍事評論家の第一人者である江畑謙介氏の(単行本としては)比較的初期の書物です。
江畑謙介氏は、理系大学出身、英国防衛専門誌の特派員やストックホルム国際平和研究所の客員研究員等を歴任され、兵器システム・戦術・戦略等軍事分野の博識な知識・分析力と政治イデオロギー的に中立な立場に基づいて「安全保障」「兵器」について一般市民でもわかりやすい説明をされる数少ない人物でした。
本書の内容は、
序 章 兵器の質が絶対的にものをいう
第一章 兵器と戦争の変化
第二章 核エネルギーの解放と使えない兵器
第三章 核戦争の理論と核抑止力
第四章 核兵器の拡散と核実験停止
第五章 弾道ミサイルとその拡散
第六章 弾道ミサイルの攻撃に対する防衛
第七章 宇宙空間の利用
第八章 精密誘導兵器の時代と高度技術移転管理
となります。
本書は、江畑氏の作品の中では珍しい「兵器と戦争」について体系的に述べられたものであり、「江畑説」というものがあるのなら、その基本概念を学び取れる良書となっています。その意味で、執筆(1994年3月)からかなりの年数が経っている2011年7月現在においても読んでいてたいへん面白い、ためになる本だと言えます。(もちろん、現在ではあまり使われていない呼称があったり、多少の情報の陳腐化や2000年代に入ってからの「軍事における革命(RMA)」や「非対称型の戦い」についての記述は当然なかったりしますが。)