この本は、阪神淡路大震災を経験した医師が東日本大震災の被災地をめぐり、今後どのような支援が必要か、何をできるか診てきたドキュメント作品である。
一番感じたことは、医療者は「医療」に気を取られすぎているのかもしれない、ということであった。よく、全人的医療という言葉が使われる。病を診るのでなく、人を診よ、という教えである。それと同様に、被災地で崩壊してしまった医療だけを診るのでなく、地域医療の土台となる、その地域全体を診なければいけないのかもしれない。
医療の立て直しを考える際には、医師も含めた住民の生活の立て直しが必要となってくる、そんなある意味当たり前のことに気づかせてくれる本であった。
あえて難点を挙げるとすれば、著者たち自身がそれぞれ災害の経験があるために、多少感情がこもりすぎている部分があるかもしれない。しかし、過去の災害との比較や自身の経験を元として書かれた本であるからこそ、これだけの説得力を持っているのだろう。そう考えれば、難点とは言えず、その部分ですら個性とも言えるものかもしれない。