「共通善」という、聞きなれないが、しかしなにやら面白そうな言葉に惹かれて読んだが、期待に反しなかった。
「共通善」とは、英語のcommon goodの訳であるが、日本国憲法第12条「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う」の「公共の福祉」の原語でもあるという。この説明で「共通善」という言葉が俄然、身近に感じられるようになった。
著者は従来から、コミュニタリアニズムの現代的意義を説いている。マイケル・サンデル著『これからの「正義」の話をしよう−いまを生き延びるための哲学』が少し以前に、テレビ放送もされ、大きな話題になった。本書は、サンデルも含むコミュニタリアニズムを幅広い視点から位置付けている。本書には、地域コミュニティの重要性、町内会・自治会の再評価、「地域主義」から「まちづくり」へ、などコミュニタリアニズムの実践的なヒントも多い。
東日本大震災後の日本は、復興後、どのような社会を目指すのか、模索中のように思われる。また、日米欧三極の同時不況が深刻化し、市場主義の限界が明らかになりつつ現在、これからの日本社会のあり方を考える上で、本書はこれからの日本社会のあり方を考える上での大きなヒントとなる。