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5つ星のうち 5.0
10年前に書かれた本が形を変えて,
By
レビュー対象商品: 共生虫 (単行本)
引きこもりブームが、形を変えている現代で、「半島を出よ」などの作品と違い、非現実的なところが素晴らしい。それは、引きこもりに限らずに、職場、学校などの対人関係や苦悩などで、匿名的な行為やハッキングが当たり前の 弄ばれているネット現代に、渇を入れた本。文体は、わざと下品にしたり、俗な社交的な発言が繰り返される。 ここまでの名作は、本当に見たことがない。これを読んで怒りをあげる人は、筆者(村上龍)が、書いたことと 似たようなことをしているのかもしれないと懸念した上に、読んだ瞬間、伝えたいことがわかっても隠したりする 人なのかもしれない。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
再読するのは厳しい小説,
By poseidon* (東京都江東区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 共生虫 (講談社文庫) (文庫)
引きこもり青年がWEBで知り合った人をおびき出して殺人を犯すという設定。お膳立ては周到。いつもどおりの筆力で読ませるが、繰り返し読もうとするとアラが出る。 リアルでのコミュニケーション能力はゼロなのに、インターネットでのコミュニケーションに関しては問題なし、というより有能。文章力にも秀で、知力の高さを伺わせる。 そうした人格の持ち主は幾らでもいるだろうが、この小説はなんぼなんでも極端すぎる。「瑕」と言ってもいい。 読んでいて醒める。再読は無理だと思った。
15 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
リアルタイマーな作家,
By
レビュー対象商品: 共生虫 (講談社文庫) (文庫)
少し前「インビジブル [DVD]」というSF映画があった。科学の力で個人が透明人間になると、自我はどうなるか?という実験的な問いを名悪優ケビンが演じた。 これはそのままインターネットの世界にも当てはまる。 個人が匿名性を保ったまま、無制限の広大な活動の場を与えられるとどうなるか?このタイムリーな問いに村上龍が応えた作品。 村上龍は時計だな。普通の時計はデジタルな数字を伝えるメディアであり 装置だ。龍時計はアナログな物語で同胞だけに「今」を伝える。いま日本の 先っぽで何が起こってるのか。自分に迫る危機まであとどのくらいか。田舎モン にもわかり易く伝える。ただアナログだから正確ではない、後のメンテナンスは読み手しだい。 さて問題は、自分だけ透明な存在になる事は他者の排除・社会性の欠落 を招き易いという事だ。まず相手がみえないと双方向が崩れるからだ。特に この主人公の様に子供の場合。判断力や自制心、共感力が充分に育ってい ない者が、無制限な電子世界にハマルと危い。ネット上ではこの主人公の様に 簡単に名前を捨て改名できる。つまり自らの履歴・責任を一方的に放棄できるわけだ。 ネット上の狂気という現代の課題を、旧来の文脈でなく、インターネット 自身の文脈で描いてみせた。村上龍あなたは欠けがえのない時計だ。 PS●この作家の高い速報性を考えれば、文庫や古本では既に効果半減だった。以後なるべく新刊で読もう。せっかく同時代に同言語圏で生まれたのだから。Web上でこの作品に出会えなかったのが悔しい。
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