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共感覚者の驚くべき日常―形を味わう人、色を聴く人
 
 

共感覚者の驚くべき日常―形を味わう人、色を聴く人 [単行本]

リチャード・E. シトーウィック , Richard E. Cytowic , 山下 篤子
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (15件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

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感覚というのは主観的なもので、同じものを見たり聴いたり味わったりするときに、誰もが同じように感じている、ということを確かめるのは難しい。たとえば、ミントの味といっても、自分が感じるミント味と、ほかの誰かが認識しているミント味とは違うかもしれない。その最たる例が、五感が入り混じった「共感覚者」と呼ばれる人たちである。ミントを味わうと、「指先にすべすべした円柱を感じる」などといった人のことを言う。出現のパターンはさまざまで、音に色を感じる人、味で触覚が喚起される人などがいる。

本書は神経科医の著者が、共感覚者との偶然の出会いから研究を開始し、共感覚をきっかけに、脳のしくみや感覚認知、理性と情動の関係、ひいては医療のありかたにまで切り込んでいくさまを、ミステリー仕立てに描いた1冊である。

共感覚者は、外見的にはまったく普通で、神経医学的な検査を行っても異常は見つからない。しかも、共感覚は本人以外には確認のしようがない感覚であるため、他人から変だと思われるのを嫌がって、自らそのことを告白する人は少ない。医学的な関心を持たれることもほとんどなく、その研究と実験はゼロからのスタートだった。

著者は随所で、医療のあり方に対し、鋭い批判を繰り返している。現代医療の現場においては、患者側にも「機械にまちがいを立証されるのではないかという不安、何が正しいか何が現実かを自分自身より機械のほうが知っているという暗黙の思い込み」が浸透しているという。機械による検査に引っかからなければ、すべて患者の気のせいだと切り捨てるのではなく、主観的な体験も重視すべきだという主張には説得力がある。

「共感覚は、実際は私たちがだれでももっている正常な脳機能なのだが、その働きが意識にのぼる人が一握りしかいない」というのが著者の仮説である。日々人の脳の中で起こっている情報処理の過程を通し、人間の心の正体について思いを巡らせることのできる1冊である。(朝倉真弓)

出版社/著者からの内容紹介

味にさわる、音を見る・・・。五感が入り交じって知覚される「共感覚」を持つ人々がいる。彼らの脳のなかではいったい何が起きているのだろうか?神経科学者が、共感覚の謎に迫る。

五感が入り混じる特異な人たちの脳のミステリー

ものを食べると、指先に形を感じる。音を聴くと、色が見える――。
10万人に1人という、この共感覚をもつ人たちは、まったく正常に暮らしており、本人が告白しない限り共感覚者かどうか見分ける方法はない。それどころか、共感覚者は特異な記憶能力を発揮することさえある。また、カンディンスキーやナボコフなど、共感覚のある芸術家も多く、その作品に影響をおよぼしているという。
共感覚者の脳のなかでは、いったい何が起きているのだろうか。
本書は、共感覚者の脳を研究しはじめた神経科学者が、やがて脳科学最大の謎である「意識」の正体へと迫っていく、たぐいまれな探究の書である。

登録情報

  • 単行本: 334ページ
  • 出版社: 草思社 (2002/04)
  • ISBN-10: 4794211279
  • ISBN-13: 978-4794211279
  • 発売日: 2002/04
  • 商品の寸法: 19 x 13 x 3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (15件のカスタマーレビュー)
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26 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 共感覚本の中で一番のお勧め, 2004/10/14
レビュー対象商品: 共感覚者の驚くべき日常―形を味わう人、色を聴く人 (単行本)
共感覚とはある刺激が不随意に他の刺激を呼び起こす現象。音を聞くと色が見える。文字が色つきで見える、など。
本書では、味で形を感じる共感覚者と、共感覚の謎を追う医学者を主人公に、ミステリーのようなテンポある展開で、共感覚のしくみについて教えてくれる。ちゃんと「結論」まで達するのでご心配なく。

医学ものには珍しく会話の豊富な読みやすい文章。
訳もこなれていて「翻訳物らしさ」がなくてよい。

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27 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 人生に悩むあなたへ、良いくすりになります。, 2004/8/28
レビュー対象商品: 共感覚者の驚くべき日常―形を味わう人、色を聴く人 (単行本)
まず、翻訳者の翻訳がすばらしい。翻訳が悪ければ、「原書を読んだほうがよっぽどいい。」本になりかねなかった、と思う。
この翻訳者のほかの書籍も読んでみたくなった。

シトーウェックが、共感覚者と出会うことから、「物語」は始まる。
臨床にありながら的確な研究的視点で、ミステリーを紐解くように進む物語には、時間を忘れて引き込まれた。

一連の実験を通して明らかになった「共感覚」の原因は、予想外であるが比較的シンプル。
この本の真髄は、「私たちが日常当たり前であると感じて生活していることを、実は脳が絶妙な仕組みで調節して認識しており、その脳も実は、、、(ぜひ読んでください。)」

お勧めの一冊。

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22 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 驚くべき世界, 2006/1/20
レビュー対象商品: 共感覚者の驚くべき日常―形を味わう人、色を聴く人 (単行本)
共感覚(synesthesia)とは、ある感覚刺激によって別種の感覚が不随意的に誘発される現象のことである。本書には出てこないが、共感覚の中で比較的よくあるのは、文字に色が付いて見えるというものだ。連想するというのとは違っていて、2は橙、5は緑という具合に、共感覚者にとってその結びつきは具体的で不変である。ただし、結びつき方は共感覚者によって異なっていて、別の共感覚者には例えば2が青、5が紫に見えたりする。次いで多いのがいわゆる「色聴」で、音を聴くと色が見えるという。世の中には、金切り声が本当に「黄色い声」に“見える”人もいるのだ!そして本書には、味覚や嗅覚から触覚(モノの形)が感じられるという、まことに驚くべきケースが登場する。こうなるとまるで余所の星の住人みたいだ。

共感覚はおそらく日常生活に支障をきたさないので、その存在は自己申告によらないと分からない(ただし、ある人が共感覚者かどうかを客観的に判定することはできる)。本書のお陰で共感覚者がカミングアウトするようになったのか、本書には共感覚者は10万人に一人と書いてあるのだが、(Grossenbacher, P. G. & Lovelace, C. T., 2001, Trends Cogn. Sci. 5: 36-41)によると2000人に一人というから、結構な比率で存在するのだ。もっとも、インターネットで検索すると山ほど引っかかってくるのだが、どうも胡散臭いのが多い。

本書では、共感覚を記載するにとどまらず、そのメカニズムの解明に迫っている。研究の結果、共感覚の座は、大脳の皮質ではなく辺縁系にあることが明らかになった。皮質は理性を、辺縁系は情動を司っている。ヒトは、皮質が極端に発達した動物であると一般に思われているが、実は、皮質と辺縁系が共進化してきたのだ。こうして筆者は、第2部において情動(辺縁系)の重要性を滔々と述べるのであるが、これは蛇足である。もう一つ欲を言えば、共感覚者が世界をどう認識しているのかという「共感覚の博物学」的記載がもっと欲しかったところだ。
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