上級対応のキャンペーンシナリオ集と銘打っています。確かに全7話の一連シナリオで最終的に8レベルのキャラクターを想定しています。データも強力なモンスターの簡易データが数十追加され対応するキャラクター6〜10レベル向け辺りが大変充実しました。
しかし、何とも肩すかし感が否めないのです。
まず、シナリオ第4話から最終話は「精霊王が出ました、闘いました、倒しました」だけの内容で上級対応「シナリオ」と称するには抵抗があります。第3話までは普通のシナリオですが、中級対応です。最後4本をボスデータまで固まっているシナリオフックと考えれば、シナリオ3本+シナリオフック4本は既存のサプリメント4つに比べても充実していると言えるのかも知れませんが…。
六門世界を揺るがす大事件ということで、世界地図を25分割し、世界変動表というものを振ります。ランダムで各地に天変地異が起こるのですが、とってつけたようなイベントです。「一度起これば都市が壊滅し、二度起これば地形が変わる」ぐらいの一文が書かれているだけです。この地方ならあの街の有名な何々が壊れる、といった描写は皆無です。プレーヤーの行動に天変地異が影響を及ぼすこともこれっぽっちもありません。相変わらず虫眼鏡で見てもわからないような小さな地図ですし。そのくせ未出の地名が増えているのが口惜しいところです。
文章量からしてもシナリオそのものよりシナリオ中に読み上げよと指示された「物語」の作成に圧倒的に力を入れています。著者の大井氏が小説家志望であることも強調されています。しかし、これこそGMに任せる部分ではないでしょうか?この分シナリオイベントのひとつでもふたつでも充実させるのがシナリオ集ではないでしょうか?
最後に、十数年に渡って各種メディアで累々と積み上げ、形作ってきた六門世界をこんな一冊で全部破棄していいのでしょうか?積み上がってきた設定からはまだまだ魅力的な話がいくらでも作れます。例えばウォーレスは、冒険の舞台に最適のひとつであり暮らしやすい街でしたが、このシナリオ集で“消滅”しました。
原作のTCGが六門世界から六芒世界に変わったからと言ってTRPGで変化を急ぐ必要が果たしてあったのでしょうか?敢えてあるとすれば積み上げてきた六門世界RPGの歴史に相応しい終わり方があったのではないでしょうか?