特殊な精神世界にトリップし、そこから現実世界の人間をもてあそぶ人たちの姿を描いています。一冊全てを使った長編作品。この世界は本来、修行を重ね悟りを開いた者のみが解脱して到達できる場所なのですが、いじめられっ子の女子高生・紺野は、持って生まれた特殊体質によって出入りしている人間です。
この世界では他人の記憶を覗く他、記憶の操作・植え付け、あるいは人を自在に操る事すら可能です。ただ紺野は強い力は持っていないので、いじめっ子の「幼少の頃父親にイタズラされていた記憶」を蘇らせるなど、小さな悪行を重ねます。
その後、人を操り飛び降り自殺させ、死の直前に浮かぶ走馬灯の記憶を集めて楽しむ変態女教師や、人に別人格を植え付け殺人を犯させたりする兄妹なども登場し、物語は広がっていきます。
また紺野の弟(新興宗教の教祖。現実世界では寝たきりだが、こちらではそれなりの力を持っている)や、「想界公安委員会」なる治安組織など、違法行為を取り締まる側の者も出てきます。彼らと悪人たちとの超常サイコバトルも、本作の大きな見所となっています。人の持つ「煩悩」を利用した攻撃が独創的。
精神世界の光景、トリップする際の描写、人の精神がこの世界で形を取る際のコスチュームデザインなど、絵の表現にも意欲的な挑戦が見られます。異次元を扱った漫画数あれど、これだけ凝った設定のものってあんまり見たことないです。
お布施を稼ぐため教師と援交する少女、猫の内臓や魚の目玉の感触で快感に耽る女(前述の女教師です)など駕籠先生ならではの描写もいっぱい出てくるし、個人的には、駕籠作品の中でもトップクラスで気に入ってます。