完璧な美を備えた女性の肉体をつくり出すという呪法〈六蠱の躯〉
のために都内で続発する猟奇殺人が描かれるシリアルキラーもの
(〈六蠱の躯〉は
××××の〈アゾート〉と類似するアイデアですね)。
「シリアルキラー〈六蠱〉は誰か」という犯人探しが主眼となり、
そこにミステリでは定番の
《見えない人》によって二重三重の
煙幕が張り巡らされているのが本作の特色です。
シリアルキラー〈六蠱〉について、読者は無意識に先入観を抱いてしまいますが、
作者はその先入観を最大限に利用し、年齢、性別、職業といった観点で、読者の
心理的盲点を衝く巧妙な仕掛けを構築しているのです(また、本シリーズ特有の
“死相”を、犯人を隠蔽するカムフラージュとして用いているのもすばらしいです)。
そして、そうした読者の固定観念を解きほぐしつつ、容疑者
を二転三転させていく解決場面の謎解きは、じつにスマート。
ホラーとしてはかなり薄味ですが、ミステリとしてはなかなかの佳作だと思います。