私自身、事件の舞台である'潟Lャッツに16年間勤務していました。事件後、民事再生から転職を余儀なくされました。この本を読むまで、この事件の真相を理解していませんでした。私は著者である細野氏を知っています。加えて細野氏以外の登場人物の多くを知っています。この作品は、満天白日の下に事件と関係者の本質を明らかにしたものでした。この事件の本質は、「外部の詐欺師たちが起こした経済事件」であり、詐欺師らは捕まりもせず、罰せられてもいないこと、さらに、この事件が歪曲された原因が、事実でない証言(偽証)によって立件されているということが述べられていました。この中の登場人物は、全て実名で書かれており、元常務の学歴詐称まで書かれていることに驚かされました。元社員の私としては、ある種、この本が、この世の閻魔大王の判決文のように、各人各様の実態を鮮明に表現していることに背筋を寒くする思いで一気に読みました。細野氏の過去を知るものは、細野氏が善良な人であることを知っています。そのような細野氏をして、悪の烙印を押し、色眼鏡で見ると、主犯にも見えるものだというのは、怠慢な権力のなせる業なのでしょう。問題の本質が、元役員の讒言(ざんげん)にあるという点に、事件の複雑さ、やるせなさを感じました。元常務らが、いかに検察のストーリーとはいえ、自らが助かりたいがために細野氏を犠牲にして自らが特別背任の罪を逃れたという点は、元社員として許せません。真実の犯人である初期の首謀者が逃れることができたのも、本来被害者である村上氏や、事件の解決を図ろうと努力した細野氏が事件の首謀者に仕立てられたのも、原因が元常務の偽証にあったのですから、今更ながらにひどい事件だと思います。この本は、経済犯罪を裁くということの難しさを、ノンフィクションで解説した良書です。加えて、人が人を裁くことの難しさを、この本は教えてくれています。