設計とは、何を達成したいのか・・・(A)、どのように達成したいのか・・・(B)の相互作用。
設計はすべての人間活動で使われる。
慎重な設計は、(A)の明確な描写で始まり、(B)の明確な描写で終わる。
その世界は、4つの領域、(1)顧客領域(2)機能領域(3)実体領域(4)プロセス領域で構成される。
良い設計は、(1)から(4)へ、順を飛ばさず、構成要素を写像で展開していく。順を飛ばすのは、慎重な設計ではない。
ただし、順を反復可能であり、下流で生じた思考に基づいて上流へ戻って思考することができる。
(1)では、顧客の声が正しいとは限らず、顧客の立場に立って潜在的な要求を定義する必要がある。
(2)の機能領域において、要求仕様は要求機能(FR)と制約条件(C)で記述され、FRは樹形図にまとめられる。
(3)の実体領域において、要求機能(FR)を実現する手段、設計解(DP)が、樹形図にまとめられる。
その作業は、樹形図をトップダウンで下りながら、(2)(3)の2つのツリーの間をジグザグに進められ、枝葉まで定義される。
(4)において、生産条件(PV)が定義される。
ここで、公理的設計論では、独立公理、情報公理という2つの公理が示される。
独立公理は、複数の要求機能(FR)がある場合、互いに影響せず独立して満たすことのできる設計解(DP)があること。
要求機能(FR)と設計解DPの項目数が等しく、独立公理を満たすとき理想設計である。
情報公理は、必要になる情報が最小になるようにする。確実に得られる確率が1に近いほど必要な情報は減り、0に近いほど情報が必要になる。
独立公理は情報公理よりも重要であり優先する。
(2)(3)の項目は徹底的に詳細に分解されている方がよい。
(4)の段階で複数の項目を同時に満たせる生産条件(具体的な部品など)があれば、情報公理からみて有利。
品質工学では、パラメータの数は多いほど最適化の自由度があってよいとされる。
一方で、少数の部品で機能を実現できる方がよいのは明らか。
機能とその実現方法は、単純化したたくさんの項目が”独立”して存在するのが良い設計。
実現方法を具現化するにあたっては、できるだけ確実で少ない構成要素で行う良い設計。
統合した少数の構成がよいのか、各個最適化した多数の構成がよいのかという悩ましい選択も、公理的設計では矛盾なく正しい設計を選択できる。
機能に注目してトップダウンツリーで分解して考察するあたりは、価値工学の考えに近い。
発想法ではないので、革新的なアイデアを呼び込むにはTRIZベースの設計論の方がふさわしい。
イノベーションが目的ではなく、確実な設計を効率よく求めるための指針となるのが、公理的設計のメリットとなる。
公理的設計の内容は単純なのだが、概念的なために理解が難しい。気軽に同僚に推薦というわけには行かない。
もっと具体的な事例比較をずっと増やしたケーススタディのようなまとめかたで、安価な読み物になると、この技術が普及してよい社会が実現すると思う。
この本の現状では、設計フリークにしか薦められないので、★一つマイナス。