巷に溢れる公務員試験に関する本は,そのほとんど全てが試験対策や合格体験記の類である。
しかし,この本は,そうした従来のものとは違う切り口で公務員試験の本質及び問題点を解説している。
受験志望者である大学生や社会人の苦悩,大学や予備校など教育産業の思惑,採用者側である官庁の論理・・・公務員試験に関わるあらゆる階層について,それぞれの視点から公務員試験とは何ぞやという問いを発している。
なぜ,公務員試験の出題範囲は膨大なのか?なぜ法律科目や経済科目が重視されるのか?面接はどの程度の比重を占めているのか?そうした,誰もが一度は抱いたことのあるであろう素朴な疑問にも明快な見解を示している。
最終章では,著者による公務員改革試案も紹介されているが,どれも現実的には難しそう。おそらく,これから先,よほど革命的な社会変化でも起きない限り,今後も現在のような形式による公務員試験は継続されるのだろうが,著者も述べているように,出口の見えない経済不況や東日本大震災という未曾有の国難を経験した,まさに予見不可能な混沌とした時代に直面したわが国にとって,有為な人材を確保していくためには,何よりこれから公務員を目指そうとする人たちが,「公務員は気楽な稼業」というとんでもない先入観を捨て去り,身を挺して国民・市民のために働こうという具体的・積極的な志望動機を見出してくれることが何よりの解決策ではないだろうか。