公務員の給料が高い理由として、基準となっている民間企業の選び方、労働者の選び方、公務員の昇給のあり方や退職金の支給基準など、官民格差や財政問題から早急に是正されるべき点を一般向けの本として説明していることは評価されるべきである。
しかし、一般向けであるため、必要以上に不正確・不適切である部分が多いのもまた事実である。
たとえば、タイトルは「公務員の給料」であるが、中心的に論じられているのは、自治体の中では最も給料が高いう名古屋市の、高卒職員である。しかし、財政力の低い小規模自治体(夕張市のような)では、給与水準がそもそも低い上に、残業手当として支払われるべき予算がないため、サービス残業が常態化する。民間企業の中でも格差があるのと同様に、公務員の中でも格差が生じていることを無視している。「名古屋市高卒職員」をデータとして利用しながら、「公務員」は、と一般化するのは問題だろう。
また、民間では年次有給休暇を取るはずで公務員の有給病気休暇を批判しているが、治療に数ヶ月かかるうつ病の場合はどうだろう。年次休暇ではカバーできないから、民間企業に勤める人はすべて退職すべきなのか。治療中は収入がなくてもよいのか。社会保障として論じられるべき政策論までを、すべて「給料」として議論するのは無理がある。
したがって、ワイドショー的な公務員批判として受け入れることも、単なる著者の私怨として切り捨てることも妥当ではない。