著者はフリージャーナリストであり大学の非常勤講師も務める人物。
日本のコンビニ史をその黎明期から現在までおよそ30年に渡って網羅した労作です。
コンビニが日本社会の大きな変化によって生まれ、そして今もなお変化を続けているという様子が大変よくわかります。人々が「高価なものだから買う」もしくは「安価なものだから買う」という消費行動をするだけではなく、「便利だから買う」もしくは「新しいものにすぐ出逢えるから買う」という最近の消費傾向を受ける形でコンビニが普及拡大してきたというのは大いにうなずける点です。
著者の筆致は手放しのコンビニ礼賛でもなければ無批判なコンビニ批判でもありません。大変良識あるバランスにのっとったもので好感がもてます。
本書の最終段階で、環境問題の側面からコンビニの24時間営業の是非が論じられる昨今の事情について筆を進めていますが、「お上(かみ)が二四時間営業を規制することに反対しているコンビニ本部が、加盟店に二四時間営業を強制するのでは首尾一貫しないだろう」(287頁)と指摘しているくだりは明快です。もっと柔軟な形で、たとえば店舗ごとに営業時間を短縮したりする手法をとることも可能でしょうし、第一に、深夜に顧客数が激減するような店舗では人件費をまかなうだけの売り上げも期待できないという著者の取材によって明らかになった事実も見逃せません。
日本社会に大きく根を張るに至ったコンビニを消費者はもっと主体的に大いに議論していってもよいのではないか。そんな気にさせる良書だと感じます。