近年、「政策」を扱う論文、テキストは珍しくないが、本書は「公共政策学とは何か。どのように教育されるべきか。」という古くて新しい問題に正面から取り組んだ意欲的なテキストである。
典型的な政策アクターとされる東京某地近辺の官僚などは別として、地方自治体レベルでは、なかなか政策形成のダイナミズムに触れる機会はないのが現実ではなかろうか。また、最近の公共政策大学院修了生などの若い世代はともかく、自分を含めた現場のスタッフの多くは、あまり公共政策「学」なるものを系統立てて学んだことはないであろうし、また、学ぶ機会・手段・情報を得ることすら困難なのが現状であろう。
そのような中で、本書は公共政策学を系統立てて学ぶことができる非常に有益なテキストである。著者らは「初学者用テキストブック」としているが、先行研究を十分にフォローし、取り上げたアプローチの特性などが丁寧に解説され、内容は濃いものとなっている。また、読者を飽きさせないコラム等の挿入や、さらに学習・研究を深めるための文献紹介などの配慮もありがたい(本書で地理感を得たのち、例えばミネルヴァ書房の『BASIC公共政策学』シリーズなどに進んでいくことが想定されよう)。
著者らは主として学部レベルでのテキストとしての利用を想定しているようであるが、現役公務員の自学のためのテキストとしても、非常に効率的に学べ、また、コストパフォーマンスも優れており、お勧めである。
ちなみに、行政現場の―末端職員としては、日頃、ルーティンで何気なく行っている職務を多少なりともアカデミックの視点から意味付け・解釈する楽しみがあるような気がした。
最後に、この分野での定番テキストとされる(少なくとも私はそう思っている)宮川公男『政策科学入門』(東洋経済新報社)との読み比べも是非お勧めしたい。