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公共性 (思考のフロンティア)
 
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公共性 (思考のフロンティア) [単行本]

齋藤 純一
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

公共性とは,閉鎖性と同質性を求めない共同性,排除と同化に抗する連帯である.現在さまざまなかたちで提起されている「公共性」の理念は,異質な声に鎖され,他者を排除してはいないだろうか.開かれた公共性への可能性は,どこにあるのだろうか.互いの生を保障しあい,行為や発話を触発しあう民主的な公共性の理念を探る.

登録情報

  • 単行本: 120ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2000/5/19)
  • ISBN-10: 400026429X
  • ISBN-13: 978-4000264297
  • 発売日: 2000/5/19
  • 商品の寸法: 18.2 x 13 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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By shuuji VINE™ メンバー
形式:単行本
 120頁と短い本ではある。しかし、読者の思考を促進し、容易に読み進める事を立ちどまらせる本でもある。本書は、政治思想史家、齋藤純一の公共性論であるが、「思考のフロンティア」というシリーズ名に相応しい一冊となっている。

 第1部では、本書の主題「公共性」を近年の「公」を巡る議論の中に投じ、公共性を共同体と比較して、「開かれている」こと、「複数の価値」が生成し、「人びとの間にある事柄」への関心が保たれ、「一元的・排他的帰属」を求めない空間と規定する。第2部では、公共性論の古典から現在的な課題に向い、1章でハーバマス、2章でアーレント、3章でアーレントの捉え損ねた社会国家における生命の保証という課題を提示し、4章で公共圏と対立するものとしても捉えられ易い親密圏の、公共圏への転換可能態として両義化し、その可能性と課題を提示、5章では個人と共同体という分析概念に対し、自己と公共性の複数性という視座を問う。第3部は本書で準拠した文献や必ずしも触れられなかった重要な文献案内であり、著者の判断の裏側にある蓄積も見える。

 欲を言えば、基本的な登場人物には、その著作の時代背景と参照させながら読むために、生没年や原著出版年、また和雑誌からの引用には、出版年もつけて欲しかった。また内容面でも、個人と共同体という近年の法哲学の文脈に、自己と公共性の負の側面を押し込んだ、という側面はある(少なくとも社会学では個人は共同体と組みになり難い)。

 けれども「思考のフロンティア」シリーズの一冊として、読者をフロンティアに誘いつつ、更なる思考(原著)に導こうという目論みは十二分に果たしえている。

 私自身は特に、近年の法哲学の議論を紹介した後、アマルティア・センを介して、1880年代に成立した社会国家が1970年代に変容した議論につなぎ、今日の監視社会論の課題へと導いた第2部3章が参考になった。
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15 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本|Amazonが確認した購入
このシリーズはなかなか良いが、これも例外ではない。ハーバーマス、アーレント、フーコーなどの公共概念を概略紹介しつつ、現代社会に適合した開かれた公共性がどうあるべきかを示唆する。現代は要するに、社会国家と国民国家が重なり合わない、脱社会国家の時代であると説く。それはその通りだろう。我が国の現況を見てみれば、福祉や経済などの世俗的な部分が弱体化し、共同体の成員が個に分解されつつある状態である。要するに、共同体の成員を丸裸にしつつ、脆弱性に晒された個人が、マッチポンプ式に「国民」の物語に収斂されるという矛盾した構造だというわけだ。しかし、この生き方は、構造的な矛盾を結局解消できず、頓挫せざるを得ない。なぜなら、競争という理念が徹底すると、要は「勝ち組」が「負け組み」の福祉を担うようなことになり、強者の弱者に対するルサンチマンを惹起する。従って、それを回避するような、複数の価値観が開かれた公共空間をいかに維持するかが今後の課題であるというわけだ。この分野は今後極めて重要だと思うので、巻末の基本文型案内にある主要図書には目を通しておきたいと思う。
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21 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
「公共性」に関する古典的議論から近年の議論までが簡潔にまとめられた一冊。

第一部で今日における「公共性」に係わる議論の動向が整理され、著者の問題意識が鮮明にされる。ここでは60年代における国家による「公共性」の独占から90年代における「市民的公共性」の塑性、これと対立する「国民共同体」として「公共性」を捉えようとする議論が示され、今日における論点が明らかになる。著者は「公共性」を、開かれており、多元的な価値の間に成立し、差異を前提とする言説の空間であるとする。

 第二部では古典的な文献を紐解きながら「公共性」の意味の検討がなされる。第一章ではハーバーマスにおける「市民的公共性」、第二章ではアーレントを引きながらパースペクティブの複数性の議論が、第三章では「公共性」が生命の保障をいかに担保するかということが社会国家化の議論として語られる。第四章では「公共圏」と対置されがちな「親密圏」(家族をその一つのあり方とする)の「公共圏」への転化の可能性が検討される。

 著者は「公共性」もこれを形成する核となる自己も一義的、単一のものとは捉えておらず、「公共性」は複数の次元をもつものであるとする。

 第三部で「公共性」に係わる基本文献が挙げられるが、古典的文献から、現代的イシューに対応した個別テーマに係わるものまでが整理されており、著者の幅広い知見の蓄積が垣間見える。

 古典的な知見をわかりやすく解きつつ、今日の問題と対応させた形でその意義付けを行っており、「公共性」に係わる入門書として最適。平易な記述とはいえ、扱っているのは古代からの普遍的課題であり、それなりの居住まいは必要であるが。
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偏狭な反ナショナリズムに貫かれた奇妙な「公共性」論
本書は「公共性」という表題だが、その内容はアーレントやハーバーマスの思想を下敷きに独自の見解を展開したものであり、教科書的概説書ではない。... 続きを読む
投稿日: 2か月前 投稿者: philosophia
今や公共哲学の古典
この本は、書かれた時期もあって、公共哲学という名こそ使っていないが、日本における公共哲学の古典と呼びうるにふさわしい位置づけが与えられて然るべきのように思われる。... 続きを読む
投稿日: 2009/6/18 投稿者: ehrlich
コンパクトにまとまっている
アーレント、ハーバーマスの議論を土台に自説を、時に苦しくもありながら、丁寧に展開している。基本書であり、そして良書。
投稿日: 2008/3/2 投稿者: 仁川
「公」とは何か
... 続きを読む
投稿日: 2006/11/15 投稿者: モチヅキ
渾身の作品
100頁たらずのコンパクトな書物であるが、内容は濃い。著者自身が「この本でここ数年公共性にふれて考えてきたことに一応区切りをつけることができた」というように渾身の... 続きを読む
投稿日: 2006/2/12 投稿者: クライストの悲劇
良くできた本です。
公共性という現代的なテーマについて理解するための基本的な書籍であると評価出来ると思います。ハンナ・アーレントに関する理解も非常に正確であるし、その一方で公共性とい... 続きを読む
投稿日: 2003/7/25 投稿者: inspo555
よい
大変刺激的な本でした。... 続きを読む
投稿日: 2003/1/5 投稿者: ppp
公共性について
公共性という近年注目されている概念に対し、
著者は政治哲学的観点から、アレントやハーバーマスを経由して... 続きを読む
投稿日: 2002/9/11 投稿者: simap
公共性の概念と歴史
ある概念について一通りの説を知るのに、岩波「知のフロンティアシリーズ」は最適です。著者は新進気鋭の若手研究者が多いです。本書は、ハーバーマスやハンナ・アーレントを... 続きを読む
投稿日: 2000/12/5
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