この新書は約4年前に出たようだが、今までアマゾンに10以上出たレビューを見ると、ヨイショ臭い5つ星から、難癖臭い1つ星に至るまで、評価が分かれている。評者が思うに、この本は、いろいろな大学で科目が設けられ始めた公共哲学という学問を、「著者なりのスタンス」からわかりやすく啓蒙・展開したものと考えるのが妥当だろう。だからこの本と一緒に、桂木隆夫の『公共哲学とは何だろう』や斎藤純一の『公共性』を読んで、公共哲学にも色々な立場があることを知ったほうがよい。また、公共哲学の多様性や論争状況を理解する上で、東大出版会から出ている全20巻の『公共哲学』シリーズも参考になるだろう。そして、この新書の学問横断論に不満を感じる読者は、最近同じ著者が出した学術書『グローカル公共哲学』を、また思想史的な叙述に不満な読者は、同じ著者の『ヨーロッパ社会思想史』を別個に読むべきだろう。いずれにせよ、この書には一つのフロンティア的な位置づけが与えられて然るべきという意味で、星4つを与えたい。