この八点鐘1・2巻には、レニーヌ公爵と名乗るアルセーヌ・ルパンと、オルタンス・ダニエル夫人が出てくるお話が、八つ収められています。どの作品も、ルパンファンの筆者が大変丁寧な筆致で描いていて、登場人物の息遣いさえ感じさせる、佳作であると、私は感じています。
八つの物語のうち、私の一番のお気に入りは、この2巻収録の「斧を持つ貴婦人」です。殺人鬼にさらわれたオルタンスを助け出そうと、智恵を絞るルパンこと、レニーヌ公爵。すんでのところで、殺人鬼に殺されかかったオルタンスの前に、窓ガラスを割って飛び込み、衰弱しきったオルタンスをかき抱いて、殺人鬼に向かって鋭い一瞥をくれる、その視線。女性としては、ルパンの男気に、もう、うっとりです。カッコいいんですよー、ほんとに。「ルパンはやっぱり小説よね」という方も、どうかご一読を。金髪にーちゃんのルパンにもはまってしまうこと請け合いです。